普段、出願人の皆様が把握していないところで、出願する際に代理人(特許事務所など)がさりげなくフォローしている制度について紹介したく思います。
<先行技術文献開示制度について>
特許法36条4項2号には、先行技術開示制度というものが規定されています。
この先行技術開示制度は、出願人が「出願時に把握している先行技術を出願書面に記載しなければならない」という規定です。
このとき、出願人は神羅万象すべての技術を網羅しているわけではないので、事細かにすべての先行技術を出願書面に記載する必要はありません。
ただ、権利取得を試みる発明に関連する技術(従来あった技術など)については、ある程度出願書面中に開示する必要があります。
特許法36条4項2号に規定される先行技術文献開示制度は、実は義務規定です。
すなわち、先行文技術文献の開示が全くないような出願には、デメリットがあります。
以下、先行文技術文献の開示を行わないことによるデメリットを説明します。
<先行技術文献の開示をしなかったときのデメリット>
先行文技術文献の開示が全くないような出願をしてしまった場合、審査官は先行技術文献の開示を促してくることがあります(特許法48条の7)。
この、「特法48条の7」の通知を受けることで、出願人は審査結果を得るまでの期間が長引いてしまいます。
そして、「特許法48条の7」の通知を無視してしまう(先行技術文献の開示を行わない)と、先行技術文献を開示しなかったことに基づき拒絶理由が通知されてしまいます(特許法49条5号)。
このように、先行技術文献の開示が全くないような出願をしてしまうと、審査の遅延や、先行技術文献を開示しなかったことに基づく拒絶理由などが通知されてしまうなどのデメリットがあります。
出願する際に代理人(特許事務所など)は出願書面中に先行技術を開示する文章を記載することで、これらのデメリットを受けないようさりげなくフォローしています。