特許・実用新案

2019.04.10

特許庁から拒絶通知をもらった発明の再申請について

2015年11月、プロレスラーとして有名な大仁田厚が、自身のファイトの代名詞でもある『有刺鉄線リング』を特許庁に再申請するというニュースが流れました。

有刺鉄線リングは1995年に実用新案を取得していましたが、2000年には期間が満了して権利が消失していたため、特許として再申請したいとのことでした。

続報がないため判然としませんが、おそらく特許庁の拒絶を受けたか、もしくは出願前に計画がとん挫したことは明らかでしょう。

この件で、もし大仁田氏が拒絶通知を受けていたとすれば、本人の性分からすると「何度でも再申請する」と言いだしそうなものですが、果たして特許庁から拒絶通知を受けた場合の発明の再申請は可能なのでしょうか?

 

≪特許の再申請は不可≫

まず結論を述べますが、特許権の再申請は不可です。

特許権を申請して特許庁から拒絶通知を受けた場合、再申請の制度はありません。

これは単に「特許庁が意地悪だ」とか「特許制度が厳しい」などの問題ではなく、特許制度自体が再申請になじまないことが大きな理由となっています。

ご存知のとおり、特許権は要件として「新規性」が求められます。

誰かがすでに知っている、世間で広く認知されている、一般的には知られていなくても業界内ではすでに公表されているため知られているといった状況では、既知・公知の発明として新規性が認められません。

そして、特許庁に再申請するということは、すでに初回の申請によって既知・公知のものになっていると考えられます。

そのため。一度でも特許庁から拒絶通知を受けていれば新規性なしとして特許権が申請できないのです。

 

≪方式審査での拒絶に対する再申請≫

特許権の審査は二段階に分かれています。

最初の段階は、申請書類の不備などを形式的に審査する方式審査がおこなわれますが、方式審査において拒絶を受けた場合は速やかに補正をおこなうことで再申請が可能となります。

ただし、書類不備による拒絶だったとしても、特許庁に提出済みの申請書類や資料を手元に取り戻す必要があるため、事実上は短期間で再申請をおこなうことは難しいと言えるでしょう。

早期に再申請をしたい場合は、拒絶の通知を待つよりも積極的に申請取り下げをおこなうべきです。

ところが、これが方式審査を超えて実体審査に進んでしまうと、出願内容は公開されてしまいます。

出願が公開されてしまうと提出済みの明細書が公開されるため、発明が広く公に知られてしまい、新規性が失われて特許権の要件を失ってしまいます。

特許権の申請は、最初から「再申請できない」ものと考えて万全の態勢で出願に挑むべきでしょう。

 

≪再申請ができない場合の対策≫

特許の再申請は原則的に不可能だと考えておくべきです。

とはいえ、実際に拒絶を受けた場合には、何とかして再申請にこぎつけたいでしょう。

もし特許庁から拒絶を受けた場合、考えられる対策はひとつ。

それが「実用新案の出願」です。

特許を出願して5年6か月以内であれば、特許庁から拒絶を受けた発明でも実用新案への変更が可能です。

実用新案には実体審査がなく、方式審査のみで登録が可能であるため、たとえ特許庁から拒絶を受けた発明であっても一定の権利化は可能となります。

 

≪拒絶通知を受けたらすぐに特許事務所に相談を≫

特許権を申請し特許庁から拒絶通知を受けたら、すぐに特許事務所に相談するべきです。

方式審査における拒絶だったとしても、申請書類の不備を解消するには知的財産の深い知識と独特な書類への経験が必要となるため、弁理士のサポートが必須となるでしょう。

また、実体審査において拒絶を受けた場合、権利化による保護を望むのであればすみやかに実用新案への切り替えを検討する必要があります。

実用新案の申請書類の作成や出願手続きも、弁理士の力を借りるのが賢明でしょう。

お問い合わせ
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019.04.10

  • icon_fb2
  • icon_tw2
  • icon_hb
  • icon_gp

関連記事

人気記事