特許を取得するためには、
特許庁へ特許出願をする必要があります。

ここまではご存じの方もいらっしゃるかと思います。

しかし実は、これだけでは特許は取得できません。
本記事では、特許出願をした後、
どんな手順を踏む必要があるのかについて
特に勘違いされていることが多い点に注目してご説明いたします。

特許取得までの手順

まず、特許取得までの大まかな流れは以下の通りです。

出願審査請求とは?

出願審査請求とは簡単に言うと、特許庁に対し
「出願内容について審査(実体審査)を開始してください。」
という申請です。

特許を取得したい場合、特許庁へ出願するだけでは
出願内容に対する審査、つまり「実体審査」は行われません。

出願後に「審査請求」をして初めて、
実体審査がスタートするのです。

この審査請求をする時期は指定されていません。
出願人のタイミングで請求することができます。

しかし期限は、
「出願日から3年以内と決められているため、
注意が必要です。

万が一期限を過ぎてしまった場合、
その特許出願は法律上取り下げられたものとみなされます。
(これを「みなし取り下げ」と言います。)

実体審査とは?

上部で、
「審査請求をして初めて実体審査が開始される」
とご説明しました。

ここで、「実体審査」について簡単に解説いたします。

「実体審査」とは、
特許庁の審査官により行われる、
その出願内容が特許に値するかどうかの審査のことです。

多くの場面では「実体」が省略され審査と呼ばれます。

実は、
「実体審査」の他に「方式審査」というものがあるのですが、
後者はその性質上話題に上がることが少ないため、
「審査」といえば通常は「実体審査」のことを指しています。

 

ちなみに・・・
「方式審査」は、
特許出願後に特許庁にて最初に行われるもので、
「出願書類の記載内容等が要件を満たしているか」
「記載方法は正しいか」など、方式的な審査が行われます。

この「方式審査」を通過しないと
「審査請求」の段階には進めませんので、
「実体審査」を受けることもできません。

「出願内容が認められるか否か」という段階では、
すでに「方式審査」を通過しているため、
話題に上がることが少ない、ということです。

 

この審査(実体審査)により、
当該出願内容を特許しても良いと判断されれば
特許査定が出され、
特許できない理由(拒絶理由)が発見された場合には
拒絶理由通知が出されます。

「拒絶理由通知」が出された場合には、
審査官の判断について反論する「意見書」や、
出願内容を一部修正する「補正書」
再度特許庁へ提出することで、
その内容を加味した審査(実体審査)を受けることができます。

その結果、
審査官が「特許しても良い」という判断をした場合
「特許査定」となりますが、
ここで、やはり「従前の拒絶理由が解消していない」と判断されると
今度は拒絶査定が出されます。

また、改めて審査した際に
従前の拒絶理由とは「別の拒絶理由」が発見された場合には、
2回目の「拒絶理由通知」が発行されます。

「拒絶査定」とは特許庁審査官としての最終判断ですので、
再度「意見書」や「補正書」を提出することはできません。

「拒絶査定」に納得がいかない場合は、
「審査」の上級審に該当する審判で審理をしてもらうために、
拒絶理由不服審判を請求していくことになります。

特許査定が出たらどうする?

特許庁での審査の結果
無事「特許査定」がでたら→その時点で特許取得!
というわけでは実はありません。

「特許査定」が出たら、
特許庁へ特許料を納付する必要があります。

そして特許庁にて受理されると、
特許の設定登録が完了し、ここでやっと特許取得!となるのです。

まとめ

特許出願後に「出願審査請求」をする必要がある
「特許査定」が出ても「特許料」を納付しなければ
正式に「特許取得」した状態ではない
という点は、勘違いされていることが多いです。

是非、覚えておいていただければ、
今後特許取得をご検討される際にも
お役立ていただけるのではないかと思います。

他にも、特許取得に関してご不明な点等がございましたら、
弁理士や特許事務所へご相談いただくと良いかもしれません。