契約・交渉

2019.03.14

ベンチャー企業が特許権や知的財産権を取得する際に注意すべきポイント

創業から間もない、または資金面や事業規模が小規模なベンチャー企業が大企業とビジネスで対等に渡り合おうとした場合、知的財産の存在が強力に作用します。

そのため、ベンチャー企業では知的財産の保護を非常に強化することが多くありますが、とにかく知的財産を保護すればよいというものではありません。

ベンチャー企業が知的財産権を取得する際に注意しておきたいポイントを紹介します。

 

≪ベンチャー企業が知的財産権を保護する3つのメリット≫

 

ベンチャー企業が特許権などの知的財産権の保護を強化することで3つのメリットを享受できます。

 

まず1つ目のメリットは「第三者による模倣を防ぐ」ことです。

ベンチャー企業にとっては、特許権を取得して発明を保護してこそ大企業と対等に渡り合えるようになります。

自社の知的財産を保護していないと発明を模倣されてしまい、大企業最大の武器である資本と販路によってあっという間にシェアを独占されてしまうでしょう。

 

2つ目のメリットは「事業の信頼性を高める」ことです。

有用な知的財産を保有していることで、大企業などから許諾を求められる立場になります。

大企業とライセンス契約を交わすことで、自社の立場は強固なものになり信頼性も高まるわけです。

ある1社とのライセンス契約があれば、たとえ小規模なベンチャー企業であっても大企業のネームバリューを活かすことができるので、ライセンス契約の基礎となる知的財産の存在はベンチャー企業の信頼性を高める武器となりえるのです。

 

3つめのメリットは「資金調達をスムーズにする」ことでしょう。

これは特許などの知的財産を譲渡、またはライセンスして対価を得るという直接的な意味合いではなく、出資や融資、公的な補助金や助成金などを得る際の判断材料としてプラスに働くという意味です。

また、他社との事業提携が持ち上がった際にも知的財産の保有は重要な判断材料となり、資金調達の可否を決定づける重要なファクターとなります。

 

≪ベンチャー企業は知的財産権のメリットを100%活かすことができない≫

 

知的財産権の取得がベンチャー企業にもたらすメリットは非常に大きいといえます。

しかし、知的財産権を行使するには必ずコストを伴うことには留意しておきたいところでしょう。

 

たとえば、ベンチャーの自社が発明した特許技術を大手企業に侵害されたとします。

当然の理屈でいえば警告書を送り、侵害行為を中止するように求めるはずです。

侵害した特許技術によって生産された商品の回収や、その販売によって得た利益の賠償も求めるべきです。

しかし、大手企業が「はい」と素直にこれに応じるとは思えません。

大手企業としては、何らかの理論武装をして侵害行為ではないと主張することは間違いないでしょう。

それどころか、自社の特許に対して無効理由を並べ立てて特許自体の存在を排除しようとすることも考えられます。

そうなると、事態の収拾は裁判によって決することとなりますが、訴訟を戦っていくには時間も手間も多大なコスコもかかります。

ベンチャーにはこういった訴訟に耐えるための資金も人材も不足しています。

ベンチャー企業は知的財産権のメリットを100%活かすことができず、大企業に敗退してしまうケースが多々あるのです。

 

≪大切なのは「実効性とコスト」のバランス≫

 

ベンチャー企業が生き抜くための武器として知的財産権が有効であることは間違いありません。

しかし、知的財産権は出願、登録、維持だけでなく、ただ当然に権利行使することでさえコストがかかるものです。

権利化されれば公表は避けられないのだから、模倣のリスクを排除するために権利化することが逆に模倣の危険を深めてしまうのです。

しかも、資金・人材・経験において劣るベンチャー企業には、当の知的財産権を行使する十分な体力がありません。

ベンチャー企業が特許権などの知的財産権などを取得しようとする場合は、まず「本当に権利化すべきなのか?」を十二分に検討する必要があるでしょう。

権利化にどれだけの効果が期待できるのか、権利化に伴うコストの支出に耐えられるだけの資産があるのかのバランスが問われます。

 

ベンチャー企業が知的財産権の取得を目指す場合、まずは特許事務所に相談し、弁理士のアドバイスを受けることをおすすめします。

自社の知財担当者が知的財産権についての知識を学び経験をある程度積んでいたとしても、プロフェッショナルである弁理士には到底かないません。

特にベンチャー企業特有のジレンマを理解できる特許事務所を選ぶと良いでしょう。

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2019.03.14

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