立体商標とは?

 

商標は、その多くは文字や図形などの二次元的な方法で表現されます。

一般的には『商標』と言われれば文字や絵柄、絵柄+文字のロゴマークなどをイメージするでしょう。

ところが、立体物でも商標登録は可能です。

平成8年の商標法改正によって、立体物についても商標権の対象となりました。

特徴的な看板、マスコットキャラクターだけでなく、ジュースなどの容器の独特な形状も保護対象となっています。

(出典:wikipedia.org

 

立体商標の具体例

(出典:https://www.sakaechika.com

立体商標の定義を説明してもイメージがつかみにくいという方も多いでしょう。

そこで、実際に商標登録を果たした立体商標の具体例を挙げてみます。

まずは製菓メーカーである株式会社不二家のマスコットキャラクター『ペコちゃん』です。

ペコちゃんの立体像は、店頭に設置するだけで「その場所は不二家の店舗だ」という認識力が備わっており、立体商標として登録を果たしています。

乳酸菌飲料販売で有名な株式会社ヤクルト本社の主力商品の一つである『ヤクルト』の容器も立体商標をして登録されています。

ヤクルトといえば、その独特な形状で、空の容器を見ただけでも「ヤクルトの容器だ」と判別できるだけの認識力が備わっており、商標登録を果たしています。

形状が複雑なものでは、本田技研工業株式会社が製造販売している原動機付自転車『スーパーカブ』も立体商標として商標登録を果たしています。

スーパーカブは、同タイプで別メーカーが販売している原動機付自転車でも『カブ』と呼ばれてしまうほどの知名度があり、商標としての識別力は十二分です。

ただし、スーパーカブの事例は立体商標としてはかなり特殊な事例です。

実際のところ、スーパーカブは実体審査の段階において特許庁から商標としての識別力がないとして拒絶を受けていましたが、半世紀にわたってデザイン上に大きな変更点がなく、世界160カ国以上で販売されていること、累計販売台数が登録当時で8,700万台以上であることなどが大きく評価されて商標登録が実現しました。

実務上、デザインを保護するのは意匠権であり、立体商標の実現には高いハードルがありますが、特に高い自他識別能力が備わっている場合は弁理士に相談の上で立体商標の登録を目指すのも良いでしょう。