ネット販売がメジャーになっている昨今、ユニークな自社製品を開発し、商売が上手くいったとしてもすぐに模倣されてしまうリスクが高くなっています。今回は、自社製品の模倣品を見つけた時、スムースに対応するための対処法についてご紹介します。

 

まずは、模倣品の情報を集める。

Amazonや楽天など、インターネットショッピングサイトで、自社製品の模倣品と思しき物を見つけたら、最初に、この物を試しに購入します。この購入は、貴社名が分からないように、個人のアカウント等を利用して行うようにします。貴社名が分かってしまうと、購入を拒否されたりする可能性があるためです。
試しに購入する際にも、インターネットショッピングサイトの画面などキャプチャを取っておくようにします。
また、購入した商品の商品名、購入日、金額、販売店など詳細がわかるレシートや納品書も一緒に保管します。

購入が難しいものである場合には、チラシやパンフレット、ホームページの写真や説明文など、後に権利行使をするために有効となると考えられる情報をなるべく入手し、これを保管しておきます。

入手した商品、その他の書類や情報は、交渉時や、裁判になった場合の証拠として提出できます。

 

自社の知的財産権と模倣品の関係について調べる。

模倣品、模倣品の情報が手元に用意できたら、自社の知的財産権の内容と照らし合わせ、模倣品のどこがどの権利を侵害しているのかを分析します。

一見、模倣品が自社製品に似ているとしても、本当に権利の侵害に当たるのかを分析しない限り、有効な権利行使はできません。

自社が、「特許権」「実用新案権」「意匠権」を持っている場合には、模倣品の機能や構造、形状などの観点で、これらの権利を侵害しないかを検討します。

自社が、「商標権」を持っている場合には、商品名、ロゴ、パッケージデザインなどの観点で、この権利を侵害しないかを検討します。

また、自社が上記のような権利を持っていない場合、上記の権利の侵害とは言えない場合、「著作権」の侵害とならないか、さらには「不正防止競争法」に抵触するような行為といえないかなどについても検討をします。

 

対処その1|相手方に書面で警告する。

調査、検討の結果、何らかの権利侵害に該当すると判断した場合には、模倣品の販売業者へ警告書を送ります。警告書には、相手方の製造・販売する「どの製品」が、「どの権利」を「どのような理由」で侵害するのか、権利者の意見を述べたうえで、「何を求めるのか」を明確に記載します。
「何を求めるのか」という点については、一般的には、販売の停止、在庫の廃棄、仕入先の情報開示などを求めます。また、和解金(損害賠償金)の支払いを求めることもあります。
警告書は、一般的には、内容証明郵便にて送ります。内容証明郵便は、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容を」送ったのか証明ができます。

警告書の送付をきっかけとし、和解できることが望ましいのですが、交渉が進まない場合は裁判を行う場合があります。

 

対処その2|インターネットショップのプラットフォームに対応を依頼する。

インターネットショップが多数参加できるプラットフォームで、模倣品を発見した場合には、プラットフォームを運営する会社に調査、対応を依頼することができる場合があります。

様々なインターネットショップから、類似のものが出回っている場合などは、一つ一つ対応することが困難であるため、このような方法をとることが有効です。

 

対処その3|税関に差し止め申請をする。

模倣品が中国や韓国などから輸入されていることが分かった場合には、税関に差し止め申請をすることができます。
差し止め申請が認められると、次に模倣品が輸入されようとしたときに、税関にてその模倣品の輸入の差し止めが行われます。
ただし、税関では、すべての荷物、貨物を検査することができませんので、差し止め率は一定割合以下となるのが通常です。

 

対処その4|警察に相談する。

また、人気のブランド品の模倣など、悪質な場合は、警察へ相談し対応してもらうことも可能です。

どのような対応をする場合でも、権利侵害の判断や、関係機関との密な連携が必要となるので、弁理士へ相談するのがスムースです。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は、自社製品の模倣品を見つけた場合の対処法についてご紹介しました。自社製品の模倣品を見つけて先方へ連絡する時は、保有する権利の内容と模倣品の関係を配慮することが大切です。警告書のひな型なども活用はできますが、その後のスムースな交渉のためにも、専門家へ相談して適切な手順を踏むことをおすすめします。