新しいタイプの商標『位置商標』とは?

(出典:https://otokomaeken.com/brand/28772)

平成27年の商標法改正によって新たに対象となった位置商標

位置商標とは「図形等の商標と、その付される位置によって構成される商標」と定義されています。

一般的に商標といえば文字や図形などをイメージするので『位置』と言われても全くイメージがつかめない方が多いでしょう。

位置商標が登録されている事例で最も分かりやすく身近なものは、アメリカの衣料品メーカーであるリーバイス社のものでしょう。

Tシャツやジーンズのポケットの、向かって左上の定位置に赤色の「Levi‘s」のタグが付されているお馴染みのデザインは『赤耳』と呼ばれてリーバイス製品を示すトレードマークとして高い認知度を誇っています。

国内でもリーバイス社と同様にジーンズを主力商品としているエドウィン社と同じくタグをジーンズの後ろポケットの左上に付す位置商標が登録を受けています。

 

位置商標の出願方法と出願・登録状況

商標が付される位置によって認識力を生み出す位置商標ですが、その特殊性から、通常の商標登録とは出願方法が異なります。

位置商標を出願する場合、願書において、図や写真を使って商標を付する位置を説明します。
図の場合、製品の全体または一部を破線で、商標を実線で記載することで、位置を特定します。

これに加えて、願書中の「商標の詳細な説明」の欄には、商標の位置について文章で具体的に説明する必要があります。

平成27年10月時点での出願総数は214件でしたが、登録査定を受けた件数はわずか5件です。
特定の位置に特定の商標があることの識別力が求められるため、登録へのハードルは非常に高くなっており、現状で実際に登録に至るためには既に高い認知度を示していることが必要だといえます。
ただし、位置商標の登録を受けることができれば、先に説明したリーバイス社・エドウィン社の例のようにブランド戦略に高い効果を発揮します。
商標と合わせて商標を付する位置にも特別なこだわりがある企業であれば、ぜひ位置商標の登録を目指すことをお勧めします。