新しいタイプの商標『音商標』とは?

(出典:https://spotlight-media.jp/article/452947359069917673)

商標法の改正によって新たに対象となったのが『音商標』です。
商標といえば、一般的にまず思い浮かべるのが企業や商品のトレードマークなどなので、音商標と言われてもイメージがわかない方も多いはずです。
音商標とは「聴覚によって認識される商標」と定義付けられています。

具体的には、テレビCMの冒頭や最後に企業名や製品名とともにワンフレーズの音楽が重なったもの、パソコンなどの電子機器を立ち上げた時に流れるメロディーなどが音商標の登録対象となります。

新たに音商標として登録されたもので代表的なものを例に挙げると、久光製薬のCM終了間際に流れる「ヒサミツ」というメロディーや、大正製薬のCMでお馴染みの「ファイトー、イッパーツ」というメロディーが音商標として登録を果たしています。

聴覚に訴えることは、人間の意識付けに非常に強力に働きかけるため、企業のブランド力を高める戦略を力強く支援するものとして注目されています。

 

音商標の出願方法と出願・登録状況

音商標の出願には、五線譜または文字による説明に加えて、出願する音商標の音声データを提出する必要があります。

五線譜には音符や記号、テンポ、メロディーに合わせた歌詞などの言語的要素を記載することになります。

文字の場合は、擬音語や擬態語で、音の長さ、回数、順番などを記載します。

これらの説明に加えて、MP3形式で作成された音声データを、CD-Rなどの光学式ディスクに記録して提出します。

『音』を商標登録するという特性から、これまでの商標登録とは異なった方法による説明が必要であることに留意しておきましょう。

 

平成27年10月段階における音商標の出願総数は321件、うち21件が登録査定を受けました。

商標法改正によって同時に対象となった新たなタイプの商標の中では出願件数、登録件数ともに多く、企業が積極的に音商標の登録を目指している状況がうかがわれます。

 

視覚情報だけでなく、耳に残る軽快なメロディーや印象的なフレーズなどの聴覚情報による訴求力は非常に強力なので、テレビやラジオでCMを展開している企業であればぜひ音商標の登録を目指すべきでしょう。