パテントトロールとは?

 

パテントトロール、日本語に直訳すると『特許の怪物』

自身が保有する特許について他者による侵害がないかに虎視眈々と目を光らせ、もし侵害にあたる可能性があれば賠償金やライセンス料を請求することを目的としている組織を指す特許用語です。

特許は自社に利益をもたらすために利用されるものですが、パテントトロールは自社が所有している特許自体を活用して経済活動を行う意思を持たないのが特徴です。

損害賠償などを請求する理由として特許を悪用していることから『Non-Practicing-Entity(NPE)』とも呼ばれています。

米国ではパテントトロールによる訴訟の増加が問題となっており、対策を急ぐ声が高まっています。

パテントトロールは、事業会社から安価に特許を買い取ったうえで、主にハイテク企業を相手に訴訟を提起しており、大手・中小に関わらずハイテク企業を中心に被害が頻発しています。

パテントトロールが安価に特許を買い取って入手できる背景には、自社が保有する特許のうち、自社の事業活動において活用していない特許を短期的に収益化しようとする動きが大きく関係していると言われています。

 

大企業も打撃を受けた!パテントトロールの被害事例

パテントトロールによる被害事例は世界中で数多く報告されており、特にIT業界のハイテク企業が甚大な被害を受けています。

被害額が多額となった事例では、iPhoneで有名なアメリカのアップル社の被害が有名でしょう。

アップル社は、パテントトロールであるスマートフラッシュ社から、スマートフラッシュ社が所有する特許を侵害していると訴訟を提起され、5億3,290万ドル、日本円にして約630億円を支払う被害を受けました。

スマートフラッシュ社はアップル社による侵害を主張した技術での経済活動は展開していない、明らかなパテントトロールですが、裁判所はアップル社の敗訴を下したのです。

アップル社は商標権においても中国で同様の被害を受けており、特にハイテク企業が知的財産権を悪用する輩の標的となっていることを証明しています。

先進各国ではパテントトロールに対する対策を講じており、不当な訴訟を阻止するための企業連合を設立するなどの動きを見せています。

日本でも経済産業省が介入して第三者委員会による裁定を導入する動きがあり、対策の制度化に注目が集まっています。