契約・交渉

2018.04.26

警告書が届いた!これだけはやってはいけない3つのこと

知的財産保護の意識が浸透した近年では、自身が権利侵害を犯したとして警告を受ける機会が増えています。

警告書が届いた場合に絶対にやってはいけないポイントについてまとめました。

 

やってはいけない!① 警告を無視する

昨今の知的財産保護の気風の高まりから、思いもよらず第三者が所有する知的財産の権利を侵害してしまい、警告を受ける場面が増えました。

これだけ知的財産保護が一般化しているのだから、おそらく誰もが「他社の権利だが、無断で使用しても問題はない」などと故意に権利を侵すようなことはしていないでしょう。

つまり、ここ最近で増えている知的財産の侵害の多くは「うっかり」のミスであり、権利者側から警告書が届いた際には驚き、困惑してしまう知財担当者も多いはずです。

そこで、警告書が届いた場合に絶対にやってはいけない1つ目は「警告を無視する」ことです。

まず誠実に考えれば、自身が所有する知的財産を他者が無断で使用していれば「やめて欲しい」と考えるのは至極当然のことです。

そこで、実際に権利侵害に当たるのかを綿密に検討し、本当に権利侵害をしているのであれば真摯な対応を取って円満解決を図るべきであるし、権利侵害をしていないと判断できる材料があれば自身の権利保護のために対抗策を見出す必要があります。

警告書が届いたのにこれを故意に無視したり、通常業務の多忙などを理由に対応を疎かにしていれば、警告者側から見れば不誠実と捉えられ訴訟に発展しかねません。

また、相手方に悪意があると考えた場合、いわゆる『特許ゴロ』や『パテント・トロール』などのように権利侵害を理由に多額の金銭を搾取する目的を持つ輩からの警告書であれば、いかに悪意ある内容だと判断できたとしても無視することで後の訴訟などに不利な状況を作り出してしまいます。

権利侵害の警告書が届いた場合は内容如何に関わらず絶対に無視をせず、誠実にかつ毅然とした対応を取るべきです。

特に、警告書が弁理士名・弁護士名で作成されている場合は、警告者側にとっても何らかの権利侵害を主張する正当な理由が存在しているものと推察されるので、絶対に無視をするべきではありません。

 

やってはいけない!② 警告の言いなりになる

 

不意に送られてきた警告書。

権利侵害の警告を受けた経験がない企業や個人にとっては、非常に困惑するものとなるはずです。

ここで警告書が届いた場合に絶対にやってはいけない2つ目は「警告書に記載された要求の言いなりになる」ことです。

警告者側には、警告書を送付するという行動を取るに足る何らかの理由があるでしょう。

しかし、知的財産の分野は非常に専門的であるため、警告者側の見落としや不知などを理由に警告に対抗できる場合があります。

例えば、商標権侵害の警告を受けた場合には、実は自身が以前から使用していた商標であれば先使用権を主張して対抗できるケースがあるし、その商標が実際には使用されていなければ不使用取消審判で商標権を無効化できるケースもあります。

特許権侵害の警告を受けた場合であれば、相手方が主張する権利の解釈に誤りがある場合があり、これを正すことができれば権利侵害を回避することが可能になります。

また、相手が主張する特許権には新規性・進歩性が欠如している可能性もあり、特許権の無効を主張することで、権利侵害を回避することが可能になる場合もあります。

特に、特許権が無効であることを、証拠を付けて主張すれば、特許権者にとって、第三者とのライセンス契約が無効化してしまうなど甚大な痛手を受けるカウンターとなるため、非常に強力な対抗策となります。

これらのような対抗策を見出す可能性があるにも関わらず、警告の言いなりになって販売・生産の中止や回収をおこなうことは得策ではありません。

悪意のある警告者であれば、自身に無効理由があったり知的財産の保護期間を過ぎていることを知っていても、金銭搾取のために警告書を発出するケースもあります。

警告書で主張される要望に従うためには、十分な調査・検討を徹底するべきです。

また、近年では、安価なライセンス料を条件提示してくると同時に、実際はそのような事実もないのに「かなりの数の会社もライセンス料を支払っている」とか「いついつまでに支払わないと訴訟を提起する」などと通知してくる権利者がいます。

半ば脅しとも捉えられるような警告の場合には、直ちに言いなりにならず、事実関係の調査を含めて綿密な検討をおこなう必要があるでしょう。

 

やってはいけない!③ 自己判断で行動する

知的財産の分野は、法令の解釈が非常に複雑で専門的な分野です。

また、知的財産にまつわる実務は、深い専門知識と豊かな経験に裏打ちされてこそ正しい判断ができるものです。

そこで、警告書が届いても絶対にやってはいけないことの3つ目は「自己判断で行動する」ことです。

企業の知財担当者は、それなりの実務経験を経て自信を持っていたとしても、やはり専門家ではありません。

警告書において主張される権利侵害が本当に成立するのか、権利侵害に当たるのであればどのような対応を取るのがベストなのか、権利侵害に当たらないとすればどのような対抗策が有効なのかは、知的財産の専門家である弁理士の判断を仰ぐべきです。

 

警告書が届いたら、最低限でも次の事項を確認しておく必要があります。

 

・警告の主は本当に権利者であるのか?

知的財産の権利者、または正当な代理人ではない者による警告には効果がありません。警告書に記載されている番号をもとに特許庁から原簿を取得し、警告の主が真に権利者にあたるのかを確認しましょう。

 

・権利が有効なのか?

知的財産権には有効期限があります。たとえば、特許権の有効期限は出願から20年間です。期限を経過した特許はすでに権利を喪失しているため、侵害が成立しません。また、特許権が有効期限内であっても、特許権者が権利維持にかかる特許料の支払いを怠っていれば権利が消滅している可能性もあります。無効となった権利について警告書を送付するといったケースも実際に存在しているので、詳しく確認するべきでしょう。

 

・自社の製品と警告書の権利内容との比較

警告書の多くは「権利侵害を犯している」と説明するのみで、どこが、なぜ権利侵害にあたるのかまでを丁寧に説明していることはまずありません。たとえば、特許権では「特許請求の範囲」に記載されている技術的な範囲が保護されているので、侵害を指摘されている自社製品と比較して本当に権利侵害が発生しているのかを多角的に検討する必要があります。

 

もし警告書が届いたら、これらの項目について個人や社内での検討をかさねるのも重要ではありますが、まずは特許事務所に相談し、初期段階から弁理士のアドバイスを受けるのが賢明です。

 

ここで挙げた項目は、いずれも知的財産の専門的な知識なしに詳細な判断ができるものではありません。

専門的な知識なしに「侵害は成立しない」と軽視してしまうと、後々に大変な事態に陥ってしまうおそれがあります。

 

警告書が届き、自社の知財担当者のみで対応してしまったため、無効を主張できる警告の言いなりになって多額の賠償金を支払ったり、訴訟が無用に長期化したケースは多々あります。

速やかに特許事務所に相談するのは、警告書が届いた際の対応として最も重要です。

併せて、警告を受けた場合に知財担当者が単独で案件を抱えてしまわないように、報告・連絡・相談を徹底するための社内フローを作成・周知しておくのも大切でしょう。

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2018.04.26

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