特許の審査請求料とは?

ここで特許権取得の流れを少しおさらいしてみましょう。

特許を出願すると、提出書類が不備なく揃っているかなどをチェックする方式審査がおこわれます。

書類に不備などがなく方式審査を通過すると、次は出願された発明が特許の要件を満たしているかなどを厳しく審査する実体審査に移行します。

この流れは既にご承知のことでしょう。

実は、方式審査から実体審査への移行は、自動的にはおこなわれません。

方式審査から実体審査への移行は、出願人自らが『審査請求』をおこなうことで手続きが進行します。

つまり、出願人からの審査請求がない場合は、実体審査へは移行しません。

審査請求には、出願審査請求料という手数料の支払いが必要です。

出願審査請求料は、2020年4月時点で、通常で「13万8,000円+(請求項数×4,000円)」です。

請求項数が1つの場合は「13万8,000円+(1項×4,000円)」で14万2,000円、請求項数が5つになれば「13万8,000円+(5項×4,000円)」で15万8,000円の出願審査請求料が発生します。

 

出願審査請求料の返還制度とは?

出願した特許を実体審査に移行すべく、審査請求をおこなった後で、自身や他社が全く別の技術を編み出したり、自社の事業内容に変更が生じたりしてしまうと、せっかく審査請求をおこなった特許の権利化による経済的メリットがなくなってしまうことがあります。

特に特許権は設定までに長期間を要するので、その間に新技術が登場したり事業内容を修正したりすることも珍しくはありません。

このように、特許の権利化によるメリットが見込めなくなってしまった場合、速やかに出願した特許の取下げまたは放棄をおこなうことで審査請求の際に支払った出願審査請求料の1/2(半額)が返還されます。

これを出願審査請求料返還制度といいます。

出願審査請求料返還制度の対象となるためには

・審査着手前であること

・出願取下書または出願放棄書の提出

・取下げまたは放棄の日から6ヶ月以内に出願審査請求手数料返還請求書を提出すること

のすべて満たすことが条件です。

 

出願審査請求料は、行政手続きの費用としてはかなりの高額です。

請求項数が多岐に渡ればそれだけ高額になるので、出願の取下げや放棄が発生した場合は、速やかに弁理士に相談の上で出願審査請求料返還制度の利用を検討しましょう。