契約・交渉

2019.05.14

事務所ごとで出願手数料に差がある理由

知的財産権の出願を特許事務所に依頼した場合は、特許事務所に対して出願手数料を支払うことになります。

特許庁に支払う手数料を含めて、弁理士への報酬として出願手数料を支払うわけですが、出願手数料は特許事務所によって差があり、一律ではありません。

数ある特許事務所の中には「出願手数料は0円」というところもあるのだから、一体どういう仕組みになっているのか気になる知財担当者も多いでしょう。

特許事務所によって出願手数料に差がある理由について考えていきます。

 

≪実費は一定だが、手数料には差がある≫

特許庁に特許権や商標権などを出願した場合、一定の出願料を納付することになります。

2019年6月時点での出願料は、特許・実用新案は14,000円、意匠は16,000円、商標

は3,400円+(区分数×8,600円)であり、出願時にこれと同額の特許印紙を提出します。

出願に関して特許庁に支払うべき出願料はこれだけで、手続きにかかる実費は実は非常に安価です。

ところが、手続きができれば必ず権利化が叶うわけではありません。

事前の調査、出願書類の作成などは専門性が高く、確実な登録を目指すためにはより知識が深い弁理士に依頼するのが賢明なのは間違いありません。

そこで、出願を弁理士に依頼するために訪ねるのが特許事務所です。

特許事務所に出願を依頼した場合、特許庁に支払う出願料のほか、出願にかかる手数料も支払うことになります。

出願手数料には、定価や標準価格などは存在しません。

以前は弁理士報酬額表によって弁理士会主導で一定の基準額が示されていた時代がありましたが、現在では弁理士法が改正されたことで廃止されており、手数料を含めた報酬全般は、依頼主と弁理士の間で合意があれば自由に決定できます。

そのため、まったく同じ内容で出願を依頼したと仮定しても、特許事務所によって手数料に差が生じることになったわけです。

 

≪出願手数料の体系≫

出願手数料は、3つの体系を主軸にして金額が決定されている傾向があります。

 

まずは「固定報酬制」です。

どのような業務内容になったとしても、出願1件あたりで手数料額が決定する方法です。

パック料金的な考え方になるので料金が明確であり利用しやすい印象がある一方で、特に専門性が高い分野などでは高額になることもあります。

 

「従量制」を採用している特許事務所も多くあります。

案件の請求工数、図面の枚数など、作業量を基準に手数料を決める方法が従量制です。

分野によって報酬額が決まるという固定報酬制と従量制を組み合わせた体系も見られます。

 

さらに作業量を厳密化するかたちとして「タイムチャージ制」を採用している特許事務所もあります。

タイムチャージ制では、依頼を受けた案件の処理にかかった時間を基準に手数料が決定します。

時間がかかる案件では料金が高くなる一方で、その時間分は自社案件で独占している状態になるため質が高い成果を期待できるというメリットがあります。

 

≪特許事務所によって手数料に差がある理由≫

特許庁に支払う出願料は一定であるのに、なぜ特許事務所によって出願手数料に差があるのでしょうか?

その答は「価格競争」です。

 

法改正によって弁理士報酬の基準が廃止されたため、各特許事務所は独自の料金が設定可能になりました。

依頼主としてはできるだけコストを削減したいと考えるのが当然であり、これに呼応する形で特許事務所は低価格を提示することで顧客獲得を競っている状態です。

いまや知的財産の市場も「低価格競争」の時代なのです。

 

やはり低価格をうたう特許事務所は一定の人気を獲得しているという現実は無視できません。

ただし、非常に専門性が高い知的財産の分野では、手数料が安価であることをばかりに注目して特許事務所を選ぶのは得策ではありません。

低料金をうたっていても、出願手数料だけは安価に設定しておきその後の書類作成や登録手数料などで費用を回収する事務所も存在します。

依頼主に望まれる内容で権利化を目指すだけで、提案やアドバイスなどは期待できないこともあります。

低価格でサービスを提供するということは、つまりどこかにしわ寄せが生じるものなのです。

安易に出願手数料が安い事務所を選ぶのではなく、これまでの実績や、手続きが進んだのちの料金体系などにもしっかりと目を向けて特許事務所を選ぶ必要があると心得ておきましょう。

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2019.05.14

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