画像意匠とは

意匠法では、以下のどちらかに当てはまるものが、画像意匠として保護の対象となっています。

  • 機器の操作の用に供されるもの
  • 機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの

スマートフォンのアプリを例にすると、操作時に画面に表示されるボタンのレイアウトアイコンのデザイン、あるいはそのアプリを使用して得られた結果のデータを表示するグラフのデザインなどが、この画像意匠に該当します。

映画やゲーム等のコンテンツ画像、デスクトップの壁紙等は、上述した①、②のいずれにも該当しないため、意匠法による保護を受けることはできません。

令和元年の意匠法改正による、画像意匠の対象拡大

従来は、機器そのものに備わっている(記録されている)画像でなければ、登録することができませんでした。
機器そのものに備わっている画像とは、例えばDVDプレーヤーやデジタルカメラの操作画面、スマートフォンやパソコンにインストールしたソフトウェアやアプリの画面などです。

一方で、近年、投影技術の発展により、画像を商品本体に表示せずに、人や壁など、他の場所に投影させて使用するような商品が現れています。

また、インターネット技術の発達により、電子機器にインストールせずとも、ウェブブラウザ上で提供されるサービスも多くなってきました。

そこで、令和元年(施行は2020年の4月から)、物品自体に備わっていない画像であっても、
①機器の操作の用に供されるもの 
②機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの 
のどちらかを満たす画像であれば、意匠登録を受けられるよう意匠法が改正されました。

つまり、現在はウェブサイトのデザインや、他の場所に投射して使用される画像も意匠登録ができるようになっています。

投射して使用される画像で実際に登録されたものの例

意匠登録第1672383号 権利者:株式会社小糸製作所 (特許情報プラットフォーム J-PlatPat より引用)

※車両(バイク等)のサイドの地面に投射される画像の意匠権です。

画像意匠の活用法

画像については、物品自体の意匠と比較しても模倣が容易であるという側面があります。
画像意匠を第三者に模倣されないようにするには、意匠権を取得することが最も有効です。

画像については、不正競争防止法や著作権法による差止請求も可能ですが、いずれも相手側が意図的に模倣したことを、こちらが証明する必要があります。

一方で、意匠権での差止請求では、相手に模倣の意図があったかどうかは侵害の要件に必要なく、相手の画像が登録された画像意匠に類似することを証明すれば良いことになっています。

そのため、画像意匠として意匠登録をしておけば、不正競争防止法や著作権法を利用するよりも侵害の立証が容易になります。

画像意匠登録をご検討の際には、弁理士や特許事務所へご相談されることをお勧めします。