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「部分意匠制度」とは、商品の一部のみを意匠権として登録できる制度です。
部分的なデザインの模倣を防ぐ目的で平成10年の法改正によって整備されました。
部分意匠制度とは?
例えば下の図のように、独特なデザインの靴底を持つスニーカーを設計したとします。
特徴は靴底のデザインであって、アッパー部分(足の甲の側の部分)のデザインではありません。

上図のようなデザインで、スニーカー全体を権利範囲に指定した意匠登録をしてしまうと、靴底のデザインが同じであってもアッパー部分のデザインが異なる商品に意匠権の侵害を主張できなくなってしまいます。
スニーカー全体を登録した意匠権は、あくまでもスニーカー全体を観察して対象となる商品と似ているかどうか判断されるためです。


上図のように、商品の一部位に特徴がある場合、部分意匠制度を利用して靴底の部分のみを権利範囲に指定して意匠登録をする方法がお勧めです。(右の図)
部分意匠制度を利用し、靴底のみを意匠登録すれば、靴底のデザインのみが観察対象となりますので、アッパー部分のデザインが異なっても靴底のデザインが似ているスニーカーに対して意匠権侵害を主張することが可能になります。
意匠登録を検討する際には、「どの部分を真似されたくないのか」を決めておくといいでしょう。
部分意匠制度の保護範囲
部分意匠制度は、特徴的なデザインを持つ部分の模倣を防ぐことを目的に規定されたものですが、どのような形態で模倣されても部分意匠による効力が及ぶわけではありません。
例えば、部分意匠として権利範囲に指定した部分のみの形状が類似しているとしても、物品全体における位置や大きさが全く異なる場合には意匠権侵害には当たらない場合があります。
他社製品に自社製品の模倣と疑わしい部分があったとしても、模倣が意匠権侵害にあたるかの判断は専門的な知識と経験を要するため、意匠権に明るい弁理士に相談するのがベストでしょう。