商標登録における区分とは何なのでしょうか。

商標登録出願をする際に必要な「区分」ですが、実は勘違いされていることが多いです。
ですので、この機会に是非ご認識いただければと思います。

本記事では、「区分」とは何か、「区分」を考える際のポイントについて解説いたします。

区分とは?

まず「区分」とは、
ざっくりと「その商標を使う対象となる商品やサービスのジャンル」である
と考えていただければ良いかと思います。

そして、「区分」について考える際にセットで必要なのが指定商品・指定役務です。

この「指定商品・指定役務」とは、
「その商標を使用する商品・サービス」のことであり、
商標登録においては、出願時に指定した「指定商品・指定役務」について商標権が認められます。

イメージとしては、
「指定商品・指定役務」という具体的な内容を、
ざっくりとしたジャンルごとまとめたものが、「区分」
といったところです。

区分は「第1類」~「第45類」の全45種類存在しており、
特許庁によりあらかじめ定められています。

45区分のうち、
「第1類」~「第34類」が『商品』の、
「第35類」~「第45類」が『サービス』の区分です。

区分の分類表がまとまった特許庁のページがありますので、是非ご確認ください。
類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2021版対応〕

商標登録の効力に「区分」は直接関係ない!?

実際に商標登録の願書を作成する際には、
「商標」「指定商品・指定役務」「区分」を記載する必要があります。

しかし実は、商標権の「効力」に直接関係するのは、
「区分」ではなく指定商品・指定役務です。

つまり、結論から申し上げてしまいますと、
区分は商標登録の効力とは直接的には関係がありません。

それでは、なぜわざわざ願書に「区分」を記載する必要があるのでしょうか?
答えは、特許庁の審査官の審査効率の向上、また費用の計算において必要だからです。

商標登録出願がされると、特許庁では審査官により一件、一件
「この商標を登録にして問題ないかどうか」の審査がされます。

その際、細かい内容である「指定商品・指定役務」だけでなく、
ざっくりとジャンルごとにまとめられた「区分」の記載があることで、
審査効率が上がるのです。

また、出願時や商標登録時に特許庁へ支払う費用の計算も、
この「区分」の数によって計算されます。

もし、特許事務所へ依頼をされた際には、
ほとんどの場合、事務所へ支払う手数料もこの「区分」の数によって変動するでしょう。

よって、「区分」は商標登録において効力には直接関係がないけれど、
願書への記載が必要なのです。

「区分」はどの様に特定すれば良いのか?

それでは、実際に商標登録をする際、
「区分」はどの様に決めればよいのでしょうか。

上部でもご説明しましたが、
商標登録のための審査においては「商標」「指定商品・指定役務」が大切です。

ですので、登録したい商標が決まったらまずは「指定商品・指定役務」を考えていきましょう。

「指定商品・指定役務」を考える際には、
その商標を「どの物品に使用するか」ではなく、
その商標を使用して「どの様に対価を得るか」という視点で考えることが大切です。

例えば、食品会社がロゴマークを商標登録する際には、
「そのロゴマークを使ってどの様に対価を得るか」を考えます。

食品会社であれば、通常、食品を販売して対価を得ますので、
商品パッケージや広告にそのロゴマークを使用する場合でも、
「指定商品・指定役務」には、「乳製品」「パン」「清涼飲料」「果実飲料」など、
販売する食品を選択していきます。

包装用容器や広告業を選択するのは誤りです。

このようにして「指定商品・指定役務」の選択ができたら、
「区分」を考えていきます。

「乳製品」「パン」「清涼飲料」「果実飲料」はそれぞれ、
乳製品・・29類
パン・・30類
清涼飲料・・32類
果実飲料・・32類
に属します。

上記4つの「指定商品・指定役務」にて出願する場合には、
「区分」の数は29類30類32類、の3種類ですので、
計3つの区分ということになります。

この様に、まずは必要な「指定商品・指定役務」を洗いだし、
そのあと、それぞれがどの区分に属するのかを考えれば良いということです。

指定する区分の数による費用の計算式

上部でも軽くご説明しましたが、
出願の際に指定する「区分」の数により、特許庁へ支払う費用が変わります。

「区分」の数が増えれば、その分費用も増えます。

商標登録において特許庁へ支払う費用は、
出願料登録料ですが、それぞれの計算式は以下となっています。

出願料=3,400+(8,600×区分数)
登録料(5年分)16,400×区分数

また、特許事務所へ依頼をした場合、
ここでも「区分」の数により手数料が変動する事務所がほとんどかと思われます。

ですので、予算をオーバーしそうな場合には、
抑えたい区分に優先順位をつけ、必ず押さえたい「区分」は何かを考え、
選択されると良いかもしれません。

まとめ

指定する「区分」を決定する際には、
まずは必要な「指定商品・指定役務」を洗い出してみて下さい。

そのあとで、
それぞれの「指定商品・指定役務」がどの「区分」に属するのかを考えれば、
おのずと必要な区分の数が出てきます。

そして、その区分の数では予算を超えてしまうという場合には優先順位をつけ、
抑えるべき区分を抑えていく、という方法がよろしいかと思います。

商標登録において少しでも不明な点がある場合には、
弁理士や特許事務所へご相談されることをお勧めします。