商標権は、登録完了後10年おきに更新をしていけば、半永久的にその商標の使用を独占することができます。
しかし、「普通名称化」というものが起きてしまうと、権利の独占が難しくなってしまうケースがあります。
せっかく登録できた商標を独占できなければ、元も子もなくなってしまいますよね。

今回は、商標の「普通名称化」とは何かという部分から、その対策方法について解説いたします。

商標の「普通名称化」とは

商標の「普通名称化」とは、登録された商標が、一般消費者や同業者間の不特定多数の者に使用されることによって、その商品が誰(どの会社)の商品なのかを表す機能(出所表示機能)が失われた結果、商品の「普通名称」として一般的に認識されるようになることをいいます。

この様に説明されても、よくわからないかもしれません。

例えば、「エスカレーター」の例が分かりやすいです。
自動で動く階段状の昇降装置を、一般的に「エスカレーター」と呼びますよね。
つまり、「エスカレーター」は、自動で動く階段状の昇降装置の「普通名称」であると言うことができます。

しかし、「エスカレーター」はもともと、ある企業の商品名でした。
「エスカレーター」という商品を売り出した当時、他に自動で動く階段状の昇降装置の呼び名がなかったため、人々はそのような乗り物を一般的に「エスカレーター」と呼ぶようになったということです。

これを、商標の「普通名称化」と言います。

他に、普通名称化した商標の代表として、「正露丸」なども知られています。

普通名称化による弊害

商標が普通名称化すると、自社の商品・役務の識別力が低下するため、商標の顧客吸引力が失われ、商標のブランド価値が毀損するおそれがあります。

また、通常自社の登録商標を無断で使用する第三者への対応として、差止請求等の権利行使をすることが可能ですが、普通名称化した商標の場合、商標権の効力は及ばない(商標法第26条第1項第2号・第3号)ため、権利行使はおそらく難しいと考えられます。

したがって、商標の普通名称化は、自社の事業に悪影響を及ぼすおそれがあるのです。

普通名称化を防ぐ方法

普通名称化を防ぐ方法としては、使用する商標について商標権を取得したうえで、登録商標であることを積極的に明示して使用することが有効です。

具体例としては、以下の表記方法が挙げられます。

  • 登録商標であることを意味する「🄬」を付ける
  • 登録番号を明記する
  • 「○○○○は□□社の登録商標です。」などの一文を加える

なお、商標の使用にあたり、「🄬」や登録番号を明記することが難しい場面でも、

  • 登録商標の部分を括弧(「」等)で囲う
  • 登録商標の部分を太字とする

等、他と明確に区別できる態様で使用することが好ましいです。

これらの表示は、自社で使用する場合はもちろん、新聞・雑誌等のメディアに掲載される場合にも、「登録商標」である旨を明記するよう、製作者側へ依頼することが大事です。

万が一、第三者による登録商標と同一、又は類似する商標の使用を発見した場合は、商標権侵害であることを理由に、第三者に商標の使用を禁止するよう求める必要があります。

第三者による商標の使用を止めずに放置しておくと、当該商標を普通名称であると認識した不特定多数の消費者が自由に使用してしまい、結果として商標の普通名称化を招くおそれがあるためです。

商標の普通名称化を防止することは、安心して事業をおこなうために必要な対応となるため、商標権取得後も、似たような商標が使用されていないかを定期的にウォッチングするのが効果的です。