特許・実用新案

2020.08.19

AI関連発明の特許申請について

AI関連発明とは

AI(Artificial Intelligence;人工知能)関連発明とは、機械学習モデルなどのAIに関連する数理的/統計的アルゴリズムそのものに着目したAIコア発明や、画像処理や自然言語処理などの情報処理やビジネスモデルに対してAIコア発明を適用するようなソリューションそのものに着目したAI適用発明として、特許庁により定義されています。

 

AI関連発明に関する最近の特許申請の傾向

AI関連発明の特許申請(特許出願)は、第3次AIブームにともない近年、急増の傾向をみせています。第2次AIブーム(90年代初頭)に2500件程度の出願件数であったものが、近年の第3次AIブーム(2010年代以降)では5000件を超す勢いで出願件数が急増しています。これは、AIに関連する数理的/統計的アルゴリズムの技術進歩があったこともさることながら、AIソリューションにおける解析対象となるような、曖昧さを内包するデータが急増しAI関連発明の需要が大きくなったためです。具体的には、例として、スマートフォンや電気自動車に付随するようなイメージセンサ(カメラ)の爆発的普及にともない、ヒトの在否など解釈の余地を有する曖昧な画像データなどについて知見を抽出する(判定・解析・分析)ようなAIソリューションが求められています。AI関連発明の内、AI適用発明の分野は、画像処理に基づくコンピュータビジョンに加え、音声認識、機械翻訳、ロボット制御、診断支援、株価予測などの多く分野が含まれます。AI関連発明の適用分野は、これまでAIによる最適化が試みられていなかったような分野の開拓が今後も続くことから、またIoT推進などにより解析対象となるデータの取得源であるセンサの数が莫大となっていくことから、AI関連発明の増加は今後も続くものと思われます。

 

どのような特許申請を行いAI関連発明を保護するべきか

AI関連発明の保護にあたっては、権利行使をする可能性のある相手を想定した上で、AI技術のどの部分について特許申請(特許出願)を行うのかなどを検討する必要があります。
教師ありの機械学習モデルに基づくAIソリューションを例とすると、①入力データそのもの、②学習済モデルそのもの、および、③出力データそのものなどについて、どの部分を重視するのかなどを検討し出願内容として明確にする必要があります。①の場合、入力データの構成の他、センサなどから取得された生データから入力データを作成するようなデータ前処理についても権利化を図ることができます。②の場合、上述のAIコア発明にみられるようなアルゴリズムそのものの他、学習用データセット、学習用データセットを用いた学習処理により得られた学習済パラメータやハイパーパラメータなどのパラメータについても権利化を図ることができます。③の場合、出力データの構成の他、得られた出力データに基づく以降の情報処理についても権利化を図ることができます。AIコア発明に関連する技術進歩により、敵対的生成ネットワークやゼロショット学習の普及にともない、保護を図るべきAIソリューションの要素技術も時時刻刻と変化しています。よって、知財保護を図りたい事業に則して、かつ、中長期的な技術動向の推移も見据えながら、AIソリューションの包括的、局所的または相補的な保護を図る特許申請(特許出願)が重要となります。
また、AI関連発明の保護にあたっては、競合に対する侵害発見を容易にする観点から、①および③を特定しブラックボックス化する傾向のある②について構成要件から除外するような戦略が必要となる場合があり、AIソリューションのどの要素技術をピックアップするのかを含めた知財戦略の立案にあたって、特許実務に精通した者の協力が不可欠です。事業に役立つ特許を取得する際には、様々な観点から出願書類を検討する必要があり、検討すべき観点も案件ごとに異なるため、特許事務所に相談することを推奨します。

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2020.08.19

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