特許・実用新案

2020.06.19

特許ライセンスの交渉のコツ

特許ライセンスの交渉は知財担当者の悩みどころであり、また手腕を見せる場ともなるでしょう。

自社の活路を開く場面で決断を迫られることも多い特許ライセンスですが、交渉においてはどのような気構えで向かうべきなのでしょうか?

今回は、特許を持っているライセンサーの立場で、他社にライセンスをする場合のライセンス交渉のコツを紹介します。

 

≪実施料としていくらを提示するか?≫

特許ライセンス契約に限らず、すべてのビジネス上の契約についていえることですが、ライセンサー・ライセンシーともに、当然に自社に最大の利益をもたらすことを目標として交渉を行います。

そして、ライセンス契約は、一方の利益が大きくなれば、他方の利益が小さくなる、という関係が基本ですので、その妥協点を探るのが交渉です。
ライセンサーの立場から言えば、できる限り高いライセンス料(実施料)を取れるように交渉をすることになります。

このライセンス料を、まずどれくらいで提示するのか?なかなか検討がつかないと思います。

ここで思い出してほしいのが、ビジネスの基本です。ビジネスは、お互いにメリットがないと成り立ちません。
つまり、相手方は、貴社の特許に関心があるということは、いくらかのお金を払ってでもそれを自社の製品に活用することで、新たな製品の販売や既存製品の改良などができ、利益に結び付くと考えているということになります。

そのため、実施料をどれくらいにするのか?ということを検討するためには、どのくらいまでであれば実施料を払ってでも相手に利益が出そうか?を検討することが重要となります。
たとえば、
●相手方はどのような製品に対して、自社の特許権を使用したいのか?
●その製品の売り上げは、利益はどのくらいと予測されるのか?
●自社の特許権を使えないとなると、相手方はどのような手段をとるのか?ほかに代替の技術はあるのか?
●その相手方との契約が破談した場合、他にも興味を示す会社があるか?
等を検討して、相手が払ってもいいと思うだろう(相手の利益となる)金額の最大値を考えます。この最大値が、交渉の起点となるのです。

ライセンス料の相場(平均)が、売り上げの3%と言われていることもあり、いかなる場合もこの周辺で提示しようとすることがありますが、もったいないですので、注意しましょう。
できるだけ、本質的に検討することが重要です。

 

≪相手の「NO」の妥協点を探る≫

さて、こうやってしっかりと検討し、妥当と思える金額を提示したとしても、相手方からきっぱりと「NO」と言われることがあります。

しかし、この「NO」は、完全に「できません」「無理です」と拒絶しているとは限りません。

実は、ライセンス交渉の相手から受ける「NO」にはいくつかの意味があります。

まずは本当に受け入れがたい内容の真正「NO」です。この場合は、こちら側の検討が間違っていたことになります。
たとえば、自社の特許権の価値を見誤っていた、市場規模を見誤っていた、競合品の存在が十分に考慮されていなかった、等いろいろな要因があります。
この場合は、どうして「NO」であるかの理由(利益が出ない、競合優位性が発揮できない等)を比較的分かり易く伝えられることが多いので、その理由を考慮して、変更案を提示することになります。

真正「NO」を受けると、ライセンスの話が白紙に戻されるのではないかとの不安から、つい、相手方の要求を100%飲む返事をしたくなりますが、ここで、もう一歩粘り強く行きましょう。
相手方の求める利益が、相手方の要求以外の手段で実現できないか、例えば、ライセンス料は下げないが、保証を厚くする、実質的に独占となるように他の条件を調整することができないか、等、別の条件で補填できないかなどを検討し、交渉していきます。

 

≪駆け引きの「NO」を見抜く≫

特許ライセンスに限らず、交渉テクニックとして「まずはNOを出す」という手法があります。

相手が提示する条件はひとまず拒絶して、自身に有利な条件を引き出すためのNOで、決して「お断り」という意味合いではありません。

たとえば、特許を保有するベンチャーのA社と、ライセンス契約を希望する大手のB社が存在すると仮定しましょう。

より有利な条件でライセンスしたい大手のB社は、A社が提示する第一回目の条件には絶対に「YES」を出してくれません。

「そのライセンス料では高すぎる」という体裁で最初の交渉を蹴るかもしれません。

単にライセンス料が高すぎるということで、具体的な「NO」の理由が見えない場合には、こちらもまずは「NO」を出しましょう。
たとえば、他社からも声がかかっていること等を匂わせつつ、必ずしもB社でなくてもよいという姿勢を見せるといいと思います。

実際のところB社の腹はライセンス料の多寡が問題ではなく、さらに強い権利を得る条件が欲しいのかもしれません。

会話を重ねていくうちに、B社は「A社が提示するライセンス料で承諾するが、ただし非独占ではなく独占にして欲しい」と求めてくるかもしれません。

つまり、B社が使ってきた「NO」は、良い条件を引き出すための「駆け引き」だったということになるのです。

こちらにわからないように駆け引きが織り交ぜられていれば難敵ですが、もし最初から駆け引きのNOを見抜いていれば、交渉のテーブルで弱気になる必要はありません。

駆け引きのNOというカードの裏には、実は最初から「YES」が用意されているのです。

 

≪ライセンス交渉には弁理士のサポートが有効≫

ライセンス交渉を有利に進めるためには、相手の目的や真意を読み取り、こちらの行動に活かす必要があります。

相手の「NO」の裏まで読んで交渉を有利に進めるのがライセンス交渉を成功させるコツですが、ライセンス交渉をおこなう際には弁理士のサポートを得ておくのも有効でしょう。

知的財産のプロである弁理士にアドバイスを受ければ、真正NOを示してきた相手との交渉では適切な妥協点を見い出すことができるでしょう。

駆け引きのNOを使ってきた相手のブラフを読み取ることにも期待できます。

交渉のテーブルには弁理士に同席を求め、意図を込めたNOを使う相手に対してけん制を送るのも有効です。

ライセンス契約で相手のNOの真意を見抜き、交渉を有利に進めるために、まずは信頼できる特許事務所に相談しましょう。

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2020.06.19

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