特許が認められるための期間

新たな特許を特許庁に出願した場合、特許が認められるまでにどれくらいの期間が必要になるのでしょうか?

新たな技術に関する発明について特許出願をすると、まずは出願書類などに不備がないかを審査する『方式審査』が行われます。

また出願後3年以内の任意のタイミングで『出願審査請求』を行うと、実質的な審査に移行します。

出願審査請求がなされると特許庁による実体審査が行われ、問題点などがあれば拒絶理由通知(審査官が登録できないと考えた場合に、その理由を示す書面)が発行されます。

この拒絶理由通知に対して意見書や補正書を提出し、拒絶理由を解消することで合格通知である『特許査定』を受けることができます。

特許査定を受けると設定登録にかかる費用を支払い、めでたく特許権の取得となります。

 

審査請求から、審査結果の最初の通知(拒絶理由通知又は特許査定)までの平均期間は9.3か月、審査請求から権利化までの平均期間は14.1か月です(2018年度、特許庁ステータスレポート2020(https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2020/document/index/0201.pdf)より)。

ここで、特許権の有効期間の起算日は「出願日」です。

一方、特許権の行使が可能となるのは設定登録を受けてからです。

したがって、特許権取得に時間がかかればかかるほど、特許権を行使できる期間は減ることになります。

早期審査制度

特許庁は早期の権利化を可能にする制度を設けています。

例えば、中小企業や公的機関であるなどの条件を満たすことで行われる『早期審査』では、申し出から審査結果の最初の通知までの平均期間は2.5か月です。

さらに、既に外国で出願している、全ての手続きをオンラインで行うなどの条件で認められる『スーパー早期審査』では、申請から審査結果の最初の通知までの平均期間は0.6か月です。

特許の有効期間を有意義にするためにも、早期審査・スーパー早期審査を活用したいですね。

(2019年度、特許庁ステータスレポート2020(https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2020/document/index/0201.pdf)より)

 

特許取得にかかる費用は?

特許権の取得にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

特許庁のホームページを確認すると、2020年6月11日時点で、

・特許出願料…1万4,000円

・出願審査請求料…13万8,000円+請求項数×4,000円

・登録時に支払う登録料…(2,100円+請求項数×200円)×3年分

が案内されています。

つまり、最低でも特許庁の手数料が合計16万2,900円もかかる計算になります。

また、特許権を3年以上維持する場合には、設定登録から3年が経過する前に4年目以降の特許料を支払う必要があります。特許料は、年が経つにつれて高額となり、

・第4年から第6年まで…6,400円+請求項の数×500円

・第7年から第9年まで…1万9,300円+請求項の数×1,500円

・第10年から第25年まで…5万5,400円+請求項の数×4,300円

となっています。

 

さらに、特許取得は手続きが複雑であるうえに意見書や補正書の提出が権利取得の上で重要であるため、特許事務所や弁理士などの専門家に依頼することとなります。

そのため、特許事務所や弁理士などの専門家に対しても出願から登録までの報酬も支払うことになります。

特許事務所や弁理士などの専門家に対して支払う費用を調べた時に、意外にも費用がかかることに驚かれた方は少なくないでしょう。

ただし、中小企業や個人については各手数料の免除や軽減措置が設けられています。

特許事務所などでは費用負担を軽減するために各種減免制度もしっかりとアドバイスしてくれるので、まずは専門家に相談してみるのがベストでしょう。

 

参考:特許庁HP https://www.jpo.go.jp/system/basic/patent/index.html#04