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近年、業務提携を活用した相乗効果の獲得や競争力の強化を目指すケースが増えています。
そして、業務提携の一形態を担う材料となるのが、知的財産権の実施許諾である「ライセンス契約」です。
ここでは、ライセンス契約を活用した業務提携について、その流れと方法をみていきましょう。
≪業務提携のメリット・デメリットとライセンス契約の関係≫
業務提携とは、企業間における資本の移動を伴わない提携を意味します。
資本の移動を伴うM&Aや資本提携では、株式や経営権の移動が生じますが、業務提携にはこれがありません。
そのため、企業間が柔軟で穏やかに協力関係を築くことが可能となります。
一口に業務提携といっても、実は法的には「業務提携契約」というものは存在せず、どのような点において提携するのかによって3種類に大別されます。
技術提携・生産提携・販売提携の3種類ですが、この中でライセンス契約が関係するのは「技術提携」となります。
ここで、業務提携のメリット・デメリットを見てみましょう。
【メリット】
・他社の資本やノウハウを利用することで自社の経営を補完する
・新規事業や技術の開発において、有効なシナジーを得ることが期待できる
・事業の失敗におけるリスクを分散、軽減できる
【デメリット】
・自社のノウハウや技術が流出する危険がある
・利益配分で紛争になるおそれがある
・提携解除後にライバルとなることが予想される
これらのメリット・デメリットをライセンス契約の性質と照らすと、ライセンス契約による技術提携におけるメリットや注意すべきポイントが見えてきます。
・提携を交わす対象が知的財産の許諾であり、クロスライセンス契約を締結することによって「お金がかからない提携」が実現できる
・他社の技術やノウハウを利用することで、自社技術が相乗効果を得る
・許諾した知的財産の流出を防止する必要がある
・契約解除後にも自社の知的財産が利用されないように契約で規制する必要がある
ライセンス契約による業務提携は、これらのポイントを念頭に進めるべきです。
≪ライセンス契約による業務提携の流れ≫
ライセンス契約によって業務提携、つまりは技術提携を進める場合は、次のような流れを経ることになります。
・技術提携によって達成するべき目的を明確化する
・自社が提供できる技術やノウハウの強みを確認する
・技術提携の相手を選定する
・相手との交渉を進める
・基本合意を得る
・技術提携の準備
・ライセンス契約による技術提携の締結
・技術提供の実施
技術提携によって達成するべき目的の明確化と、自社が提供できる技術やノウハウの強みを確認することは、ライセンス契約による技術提携の骨子ともいえるプロセスです。
相手との交渉における根幹となるため十分な検討を要するでしょう。
技術提携の相手の選定では、相手が保有する知的財産や資本の状況もしっかりとチェックしておきましょう。
相手との交渉を経て基本合意を得たら、技術提携の契約を結ぶ準備を進めることになります。
ライセンス契約書を交わすために草案を準備しますが、技術提携の範囲、期間、成果の配分などの重要な項目が抜け落ちることがないよう気をつけるべきです。
双方の合意が得られればライセンス契約による技術提携関係を締結し、技術提供が実施される運びとなります。
≪ライセンス契約による業務提携は特許事務所のサポートが必須!≫
ラウセンス契約による業務提携をすすめる際には、契約書が必須となります。
契約書とは、この場合は「ライセンス契約書」を指すことになりますが、ライセンス契約に慣れている企業では同じ契約書を繰り返し使用しているケースが散見されます。
また、ライセンス契約に不慣れであると、自社でインターネットからひな形をダウンロードしたり、似通った形態でのライセンス契約書の情報を真似て自作したりといったことも考えられます。
業務提携におけるライセンス契約書は、多数の相手に許諾することで収益を期待するビジネスモデルとは異なるため、個々具体的な内容を吟味する必要があると考えておくべきです。
ひな形や他社の契約書を真似ても、自社と提携相手の状況に合致していて、必要な項目が網羅されているとは言い難いからです。
ライセンス契約による業務提携を進める場合は、計画の立案段階で信頼できる特許事務所に相談し、自社に不利益がないか、業務提携に成果が期待できるのかなどの判定も含めてアドバイスを受けましょう。
契約書の作成も特許事務所に一任するのが賢明です。
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