特許・実用新案

2019.06.08

拡大先願とは?わかりやすく解説します。

特許権については「先願主義」が採用されていることはご存知のとおりでしょう。

先願主義とは、同一の発明について別人が出願した場合において、先に出願した者の発明が特許権を得る制度ですが、混同しやすい考え方として「拡大先願」が挙げられます。

拡大先願とはどういった制度なのかをわかりやすく解説しましょう。

 

≪拡大先願の根拠と目的

先願主義は特許法第39条第1項において規定されています。

後願の「特許請求の範囲」に記載された発明が、先願の特許請求の範囲に記載された発明を含んでいる場合に適用され、後願は特許庁の審査によって拒絶されます。

先願主義が目的とするのは「同じ発明に対して二重特許とならないため」であるため、たとえ先願と後願の出願人が同じであっても後願が拒絶されてしまうわけです。

一方、拡大先願は、特許法第29条の2において規定されています。

後願の「特許請求の範囲」に記載された発明が、先願の「明細書」「特許請求の範囲」「図面」に記載されていて、後願が出願されたあとに先願が公開された場合、後願が拒絶されるという制度です。

拡大先願の目的は二重特許の防止ではなく、「新しい技術である」とは認められない後願の権利化を防ぐためです。

よって、出願人が同一の場合は後願でも拒絶はされず、出願人が異なっていても発明者が同じであっても拒絶されることはありません。

 

≪拡大先願が適用されるケース

先願主義ではなく、拡大先願によって後願の出願が拒絶されるケースをみていきましょう。

まず、前提として発明の記載が先願の「明細書・特許請求の範囲または図面」に記載されているものであることが挙げられます。

発明の記載が先願の「特許請求の範囲」と同一であると判断された場合には、後願の出願が先願の公開前・公開後にかかわらず、原則的には先願主義によって後願が拒絶されます。

では、発明の記載が先願の「明細書」や「図面」に記載されている場合ではどうなるのでしょう?

特許請求の範囲は「特許を受けようとする発明の特定」であって、これが同一でなければ後願であっても「同一の発明ではない」とも解釈できそうなものです。

もし、先願が公開された後に後願が出願した場合、明細書や図面に「公知の技術」が記載されていることになるので、特許権の要件である「新規性」が喪失していると評価されます。

よって、この場合は「新規性の喪失」を根拠に拒絶を受けます。

では、発明の特定が同一ではなく明細書・図面に記載されているにとどまり、しかも先願の公開前に後願が出願した場合は新規性も失われていないとすればどうなるのでしょうか。

そこで適用されるのが拡大先願です。

拡大先願が適用されるケースについて条件をまとめると、次のとおりです。出願する発明が、前日までに出願された別の発明の明細書

・特許請求の範囲または図面に記載されている発明ではない

・出願の後に、先願が公開されている

・先願と後願の発明者が同一ではない

・先願と後願の出願人が同一ではない

 

≪先願が取り下げられた場合の取り扱い

拡大先願は、先願主義の一種だと思われがちだが実はそうではありません。

実質的には特許法第29条1項が定める「新規性」の適用範囲を補強するものだといわれています。

それを証明するのが「先願が取り下げられた場合」の取り扱いです。

先願主義に基づけば、先願が取り下げられた場合、第一順位が消滅して第二順位が繰り上がって特許権を得ることになります。

ところが、拡大先願の場合は、先願の発明内容が公開されるため「公知」と同じ状態になってしまいます。

公知とみなす状態であることから、拡大先願を「公知の擬制」や「準公知」と呼ぶこともあることは覚えておいたほうが良いでしょう。

 

≪拡大先願で拒絶された場合の対応は特許事務所に相談を

拡大先願で特許庁から拒絶された場合は「特許請求の範囲」を補正することによって拒絶を解消できる可能性があります。

ただし、特許請求の範囲をどのように補正すれば拒絶を解消できるのかを明確に判断する作業は容易ではありません。

もし拡大先願を理由に特許庁からの拒絶を受けた場合は、早急に特許事務所に相談することをおすすめします。

数多くの特許出願と拡大先願による拒絶を回避してきた実績を持つ弁理士なら、さまざまな手を尽くして拒絶回避に尽力してくれるでしょう。

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2019.06.08

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