特許・実用新案

2019.04.28

特許庁の判定制度を有効活用しよう

他社製品が自社の特許権を侵している、または自社製品が他社の特許権を侵しているおそれがある場合、最終的には裁判所が下す判決によって決着がつくことになります。

とはいえ、裁判所が結論を下すまでには相当な時間と労力が必要となるため、できれば裁判で争うことなく解決したいでしょう。

そこで有効なのが特許庁の判定制度です。

特許庁の判定制度を有効活用する方法について紹介します。

 

≪特許庁の判定制度とは?≫

特許庁の判定制度とは、対象となる知的財産権について登録の範囲に該当するか否かの判断を求める制度です。

特許権・実用新案の技術的範囲、商標権・意匠権の効力の範囲などが対象となります。

判定は積極的判定と消極的判定の二つに大別され、積極的判定とは「技術的範囲・効果の範囲に属する」との判定、一方の消極的判定は「技術的範囲・効果の範囲に属さない」との判定を指します。

特許庁に対して判定請求を求めると、3名の審判官によっていずれかの判定が下されます。

判定の請求者は必ずしも権利に関して利害関係が必要ではありませんが、判定請求書に請求の理由を記載する欄があるため、まったく無関係なのに請求をおこなうことはなじまないでしょう。

判定を請求できるタイミングは権利が設定されて以後であって、権利化前のものは判定請求の対象外となります。

また、権利期間が終了した場合でも、権利期間中の侵害行為を争うケースがあるため判定請求は可能です。

 

≪判定制度の有効活用法≫

特許庁の判定制度を受ければ、結果に応じて判定書が作成されます。

この判定書が存在することで、さまざまな有効活用法が見いだせるでしょう。

まず、警告書の資料とすることです。

相手に侵害の警告書を送付する場合、または反対に相手から侵害の警告書が送られてきた場合には、判定書を証拠資料として添えることで警告や反論の根拠とすることが可能です。

同様に、訴訟に至った場合は侵害であることの証拠や差し止め請求などの根拠を否定する証拠としても活用できます。

紛争の当事者間で「判定結果に従う」との契約を取り付けることができれば、訴訟に発展せずとも事態の解決を図ることもできます。

判定制度は、知的財産の侵害にかかる紛争をスムーズに解決するためには非常に有効なのです。

また、ライセンス契約や権利譲渡契約の交渉においては、判定書を添付することで権利の有効性を証明する資料にもなります。

自社の知的財産の有効性は契約書においても約束するものであって、特許庁が作成する判定書は契約内容の信ぴょう性を高めることになるでしょう。

 

≪判定制度の効果≫

判定制度は特許庁による「お墨付き」ととらえることができる。

ただし、判定自体には法的な拘束力はなく、たとえば侵害の相手に判定書を付して警告書を送付したからといって、相手がこれに従う義務はありません。

また、判定の結果はあくまでも特許庁というひとつの行政庁の見解であって、裁判所の決定ではないので、裁判で争った場合には異なった結果が生じることもあるのです。

つまり、判定制度の判定結果は絶対ではないということです。

紛争の相手としては、判定結果を突き付けられてもこれに従う義務はないため、訴訟に踏み切って裁判所での決着を望むという姿勢に転換してしまうおそれは否定できません。

最近では、知的財産の権利関係で争いが生じた場合、日本知的財産仲裁センターによる裁判に頼らない紛争解決(通称ADR)が用いられることが増えてきました。

判定制度は紛争解決の一手法ではありますが、知的財産の有効性を示す資料としてビジネスに活用するほうが有効という性格のほうが強くなったといえます。

 

≪判定制度の利用は特許事務所に相談を≫

特許庁による判定制度は、紛争解決の証拠や自社の知的財産の有効性をアピールする好材料となります。

判定の請求や判定書の活用法などを判断するには、知的財産のプロである特許事務所に相談してアドバイスを求めるべきでしょう。

特許庁への申請の多くは複雑で難解なものが多く、的外れな請求を起こしてしまうおそれがあります。

真に有効な判定を求めるためにも、まずは特許事務所に相談して弁理士の見解を求め、請求から活用方法までのトータルサポートを受けるべきでしょう。

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2019.04.28

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