契約・交渉

2018.11.19

ライセンス契約とサブライセンスの違いとは

 

 

ある知的財産権について、他者から実施の許諾を受けるのがライセンス契約です。

ところが、実際に商品を製造する段階になってある問題が生じることがあります。

それが「子会社や下請け企業が製造・販売をおこなう場合」です。

実施の許諾を受けているのは親会社であって、子会社や下請け企業はライセンス契約を結んでいないため、製造や販売をおこなうことは許諾の範囲外となり、権利侵害が発生してしまいます。

このトラブルの解決策となるのが『サブライセンス』契約です。

ここでは、ライセンス契約とサブライセンス契約の違いについて解説していきましょう。

 

≪サブライセンス契約とは?≫

サブライセンス契約とは、権利者から実施許諾を受けた実施権者が、さらに第三者に実施を許諾することをいいます。

実施の許諾を受けた者が、さらに他者に実施を許諾することから『再許諾』とも呼ばれます。

 

そもそも知的財産権は、権利者が独占して実施することが認められる権利です。

この権利を、さらに第三者に許諾する契約が『ライセンス契約』です。

ライセンス契約は、権利者であるライセンサーが、実施権者であるライセンシーに対して実施を許諾する契約ですが、ここでひとつの問題が生じます。

ある会社が権利者とライセンス契約を結んだ場合、権利者から実施を許諾されたのは直接のライセンシーのみですから、たとえばライセンシーが販売会社であり、製造部門を子会社に任せている場合は、製造部門の子会社が権利侵害を犯していることになります。

企業活動を分散化している法人では、販売と製造が別会社になっている場合も珍しくはないため、ライセンシーとしてはライセンス契約を結び、当然の流れで製造部門に業務を任せただけで権利侵害を犯してしまうという事態に陥ってしまうのです。

知的財産の業界では、このように子会社の存在が問題となることが多くあります。

たとえば、親会社の商標を子会社が使用することには何ら問題がないように思えますが、親会社と子会社の間に実施の許諾がない限り、四角四面にみれば子会社が親会社の商標権を侵害していることになるのです。

多くの企業では、親会社による同意書の交付をもって子会社による商標の使用を認めていますが、この方法が法的に許容されるためには商標法そのものの改正が必要となります。

実務として大筋では問題がなかったとしても、コンプライアンスの精神に鑑みればやはり問題があるでしょう。

この点については、双方に支配関係が存在し、かつ商標権者が了承している旨の陳述書を提出することで、商標権が認められる方向で審査基準が改定されました。

ただし、これはあくまでも親会社・子会社の関係においての特例であり、兄弟会社・孫会社・グループ会社・フランチャイザー・フランチャイジーには適用されないので要注意でしょう。

≪サブライセンス契約の特徴≫

サブライセンス契約の特徴を挙げていきましょう。

まず、サブライセンス契約は、もともとのライセンサーが認めていない限り契約できません。

ライセンス契約の条項として「サブライセンスが可能」という内容が盛り込まれていない限り、たとえ子会社が相手であっても実施を任せることは権利侵害となるので注意しておきたいところです。

また、サブライセンス契約は、もとのライセンス契約の影響を受けるという特徴があります。

そのため、契約期間の終了などによって基礎となるライセンス契約が終了した場合は、ライセンシーとサブライセンシーとの間で締結したサブライセンス契約も終了することになります。

さらに、サブライセンス契約では、ライセンサーがサブライセンシーの数を限定することがあります。

ライセンシーの段階で、無秩序にサブライセンシーを増やすことができるわけではないことにも留意しておきましょう。

加えて、秘密保持義務などが課せられる場合もあり、ライセンシーとしてはサブライセンシーまで契約事項を遵守するよう管理が求められます。

≪ライセンス契約とサブライセンス契約の違い≫

ライセンス契約を取り巻く関係を商品販売ルートの関係に例えるなら、ライセンサーは製造業者、直接のライセンシーは販売店、ライセンシーから許諾を受けたサブライセンシーは消費者にあたることになります。

このように例えると、ライセンス契約とサブライセンス契約の違いが見えてくるでしょう。

 

権利者がライセンス事業によって収益を確保したいと考えた場合、多数のライセンシーと契約を結ぶことは非常に手間がかかります。

そこで、自社の権利を広めてくれる窓口としてライセンサーとライセンス契約を結びます。

販売店としての立ち位置であるライセンシーは、エンドユーザーであるサブライセンシーに有償で実施を許諾します。

元ライセンス契約に、サブライセンシーの数に応じてロイヤリティを支払う条項を盛り込んでおけば、ライセンサーはサブライセンシーの増加に応じて収益が伸びるという仕組みです。

冒頭で紹介したような「子会社による実施」というパターンだけでなく、ソフトウェアのライセンス事業などでは、ライセンス契約は実施許諾の窓口としての形態であり、サブライセンシーを獲得した数に応じてロイヤリティが設定されます。

一方、サブライセンス契約は単独の実施許諾に対してロイヤリティを支払うことになり、ここにライセンス契約のライセンシーと、サブライセンス契約によるサブライセンシーの立場に明確な差が生じているのです。

 

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2018.11.19

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