特許・実用新案

2018.03.19

特許権におけるロイヤリティの相場とは?

特許権を活かしたビジネスモデルとして挙げられる第三者への許諾。

第三者への許諾に対してロイヤリティを得ることで収益となりますが、ロイヤリティはいくらに設定すれば良いのでしょうか?

 

特許権のロイヤリティ設定に決まりはない?

特許権を得ると独占的に発明を実施することが可能になりますが、同時に「第三者に実施を許諾する」ことも可能となります。

ここで重要となるのが、特許使用料、つまりロイヤリティの存在です。

特許権者は、自身が実施して利益を独占するだけでなく、第三者に実施を許諾する対価としてロイヤリティを受け取ることでも利益を享受することが可能となります。

ロイヤリティについては、金額や支払い方法などについて法令による特段の定めはありません。

つまり、ロイヤリティがいくらであるとか、いつ、どのように支払うなどは、特許権者と実施者の間で自由に契約できます。

契約時にいくら、販売額に対して何%などの設定は、全て両者の自由契約によって決定することができます。

 

特許権のロイヤリティの相場は?

特許権を活かしたビジネスを展開する法人などでは、ロイヤリティをいくらにするのかという問題は非常に重要です。

ところが、ロイヤリティは特許権者と実施者の自由契約によって決まるため、法令の定めによる基準や算定公式などは存在しません。

ただし、ライセンシー(特許のライセンスを受けて事業を行う人)の営業利益の25%をライセンスの対価として算定する『25%ルール』というものが、経験則上有用な基準として用いられています。

また、一般社団法人発明協会が発行する『実施料率』では、分類別のロイヤリティの概ねの基準額が示されており長年の間訴訟などにおいて参照されてきたが、情報が古くなっており実状に沿わない部分もあります。

最新の調査資料としては、特許庁の調査結果をまとめた「平成21年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書」があり、全市場におけるロイヤリティの平均額は3.7%という結果が出ています。

分類別で最もロイヤリティの相場が高いのがバイオ・製薬の6%。次に健康・人命救助・娯楽の5.3%、化学の4.3%となっており、一般的に特許取得に投資するコストが高くなる傾向がある業界ほどロイヤリティの相場も高くなっています。

ただし、この調査結果で示された相場はあくまでも平均値であり、実際にロイヤリティを決定する際には必ずしも相場に沿う必要はありません。

また、この調査は平成21(2009)年度のデータであり、その後は特許庁からの公表がないので、現在は多少の変動があるものと思料されます。

ライセンス契約が独占的であるか否か、関連会社か、競合する他社か、などの複合的な要素を考慮してロイヤリティの金額を決定することになります。

 

相場だけにとらわれないロイヤリティの決定が必要

 

特許権のロイヤリティを「相場」によって縛ることは、好ましくありません。

 

素晴らしい発明でも「相場より高い」と値下げを求められる、対価性が低い発明でも相場程度のロイヤリティを提示し破談に陥って収益化が望めないといった事態も考えられます。

 

特許権のロイヤリティについて多くの紛争が積み重ねられる中で「明確な基準になるものが存在していれば紛争は少なくなるのではないか?」という考えのもと、2018年に日本知的財産仲裁センターがプロジェクトチームを結成しました。

 

国内の弁理士・弁護士11名で結成されたプロジェクトチームは、研究報告書の中で「発明協会が公表している『実施料率』は外国技術を導入した契約をもとに算定されているため、双方が国内企業の場合に用いるのは的確ではない」と指摘しています。

 

たとえば、電子計算機等における実施料率の平均値は13.5%であると示されていますが、国内における最頻値は1%であり、資料と現実の相場の間には大きな解離が認められるのです。

 

プロジェクトチームは、実際のロイヤリティを決定するには明確な基準に基づいたチェックシートを活用して欲しいとしながらも、やはり「業界相場」は複数挙げられる基準のひとつとしています。

 

明確な相場は存在せず、また一般的に活用されている基準は疑わしいものではありますが、一定の相場は確かに存在します。

 

業界のロイヤリティ事情に詳しい弁理士に相談して、実際の相場を確かめるのが賢明でしょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

2018.03.19

  • icon_fb2
  • icon_tw2
  • icon_hb
  • icon_gp

関連記事

人気記事