特許・実用新案

2018.02.08

特許を共同出願。注意すべきこととは?

複数の個人や企業が共同で発明をした際におこなわれるのが共同出願ですが、共同出願した場合、第三者への譲渡やライセンス契約などに規制が加わるなど、いくつかの注意点があります。

ここでは、特許の共同出願で、注意するべきことを詳しくご紹介いたします。

 

特許の共同出願とは?

通常、特許権の出願は単独の個人や企業が行うものですが、商品のキャッチコピーでよく見かける「A社とB社の共同開発」などのように、複数の個人や企業が共同して発明をすることがあります。

この場合、特許権について複数名義での共同出願が可能です。

複数企業による共同出願だけでなく、親会社と子会社、複数の研究者による共同出願なども可能で、最近では企業と大学などによる共同出願も盛んになっています。

ただし、共同で特許になるような発明を開発したからといって、必ずしも共同出願をする必要があるわけでありません。

たとえ共同研究の成果だったとしても、単独の個人や企業が出願人になることも可能です。

 

共同出願の注意点

特許の共同出願を行う場合、いくつかの注意点があります。

まず、共同出願であっても、取下げや変更などの不利益行為を除いて、出願人のうちの1人がおこなった手続きはたとえ他の出願人の同意を得ていなかったとしても有効となってしまいます。

また、特許が登録された場合、各出願人はそれぞれに実施権を得ることになりますが、第三者に対する権利の譲渡やライセンス契約を結ぶ際にはある程度の規制が生じます。

それは契約段階で特段の取り決めをした場合を除いて、譲渡やライセンス契約には原則的に共同出願人全員の同意を得る必要があるというものです。

これらの注意点が存在することを踏まえると、特許の共同出願を行う場合には『共同出願契約書』を交わすことが望ましいでしょう。

例えば、技術開発を専門にするA社と、製造を専門にするB社との間で発明をし、共同出願のうえで登録されたとしましょう。

すると、A社は製造技術や施設を持たないため特許製品の製造で利益を得ることができず、製品を製造できるB社が実質的に特許製品の製造・販売を独占することになってしまいます。

この場合、A社としては別途B社の製造・販売に応じた対価を受け取れるようにすることなどを検討する必要があるでしょう。

反対に、技術開発を専門にするA社に対して、独占的に製造した製品を供給することができるとB社が期待して共同開発をしたという事情があったとすればどうでしょうか?

A社が別の技術を利用した別の製品を別の業者から購入するなど、B社が期待していた利益を得られないといった事態に陥ることもあり得ます。

このような場合には、A社がB社から製品を一定数購入することなどを取り決めることなどを検討する必要があるでしょう。

特許を共同出願する場合、特許化後の互いの収益モデルについてもよく確認し、互いにとって利益となる途を探ったうえで、その内容について契約を交わしておくのが賢明だと言えます。

 

共同出願を相手任せにするべきではない

共同出願のデメリットを考慮すれば、安易に共同出願を相手任せにするべきではありません。

 

発明とは意外なところから生まれることもあり、たとえばクライアントからの依頼を受けて新製品開発に着手していたところ、思いがけず特許権を取得できるレベルの発明が生まれることも多々あります。

 

すると、クライアントから「共同出願しよう」と持ちかけられることも想定されますが、特許権出願に対して経験値が少ない企業では、クライアント任せにできるのであればと共同出願に応じてしまうこともあるでしょう。

 

たしかに、出願にかかる手間や費用までもクライアント任せにできるのであれば損はないし、共同出願にすることでクライアントとの良好な関係づくりに役立つとも考えられます。

 

しかし、相手任せに共同出願を進めてしまうと、一方的に不利な条件を付されてしまうおそれがあります。

 

対等な条件だとばかり思っていても、フタを開けてみれば相手にライセンス料を支払う内容になっていた、何をする場合でも常に相手の了承が必要だったなどという条件になっていれば、共同出願にしたことは失敗だったとしか言いようがありません。

 

共同出願にメリットがあるのか、大きなデメリットを被ってしまわないかは、事前に特許事務所に相談してアドバイスを受けるべきです。

 

知的財産の専門家である弁理士のサポートを受ければ、一方的に不利な条件での共同出願を防ぐこともできるでしょう。

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2018.02.08

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