2017年9月に初登録が実現した音楽的要素のみからなる音商標。

企業の新たなるブランド戦略として活発な出願が予想されており特許庁も積極的な姿勢を見せています。

初登録を実現した音楽的要素のみからなる音商標から登録のポイントを分析してみましょう。

 

音楽的要素のみからなる商標とは?

2015年の商標法改正によって新たに認められることになった音商標。

これまでに印象的なキャッチフレーズなどをメロディーにのせた音商標が登録を実現していますが2017年9月にはメロディー・ハーモニー・リズム・テンポ・音色のみで構成された「音楽的要素のみからなる音商標」の登録が実現しました。

音楽的要素のみからなる音商標は、言語以外による新たなブランド発信手段として注目されており、特許庁も登録に向けて積極的な姿勢を見せています。

実際に登録に至った音楽的要素のみからなる音商標は大幸薬品・インテル・BMWの3社。

いずれもテレビCMなどでお馴染みになっているメロディーばかりであり、企業の新たなブランド戦略として活発な出願が予想されています。

 

音楽的要素のみからなる音商標のポイント

音楽的要素のみからなる音商標の初登録となった3件の音商標。

今回初登録を果たした3件の音商標を考察すると、現時点で特許庁が登録へのポイントとして重視している部分が見えてきます。

これまでに登録を果たしている音商標を例に挙げると、久光製薬のものではメロディーに「ヒサミツ」という歌詞のような言葉がのせられていることで同社の商標であることが容易に想起できます。

ところが、メロディーやハーモニーなどのみによって構成される音楽的要素のみからなる音商標では、社名や製品名などが直接的に表現されることはありません。

つまり音楽的要素のみからなる音商標が登録に至るためには、言葉や歌詞などによって直接的に表現しなくとも聞き手が社名や製品名を容易に想起できるほどの認知度が必要だと考えられるでしょう。

音商標の審査については、実際の音源と出願資料となる楽譜が厳密に一致する必要があるなど形式的なハードルが高いと言われており、実際に音商標の出願・登録を担当した弁理士もこのポイントの解消に苦労したと語っています。

とはいえ、形式的なハードルをクリアできたとしても、やはり音商標の登録実現には高い認知度が最も重要です。

特に言語などによる直接的なイメージの想起に頼らない音楽的要素のみからなる音商標は、国民的とも言えるほどの強力な認知度が必要だと言えるでしょう。