特許のポートフォリオとは、出願人が保有する特許網と解釈されます。

自社が保有する特許を分類し、現在の事業を保護する・他社に対して技術や市場への参入障壁を作ることに役立ちます。

では、特許取得に於けるポートフォリオについて詳しくご説明致します。

 

特許の『ポートフォリオ』とは?

知的財産保護を戦略的に展開している企業では『ポートフォリオ』の構築が非常に重要視されています。

ポートフォリオとは、日本語に訳すと折かばんや書類入れ、有価証券の一覧表などの意味になりますが、特許用語としてのポートフォリオとは「出願人が保有する特許網」と解釈されます。

自社のポートフォリオを強固にすることで、他社に対して市場や技術に対する参入障壁を作り上げることが可能となります。

まず、自社のポートフォリオの分析・管理に際しては、保有する特許の件数・技術分野・製品分野・効力・出願年・登録年などの観点から自社の特許を分類します。その上で、現在の事業を保護する・将来の事業への参入障壁を構築するなどの特許取得によって実現すべき目的に対して最適化された情報として群管理することが重要となります。

これにより、追加すべき特許が見えたり、今後の開発戦略、経営戦略の策定の参考情報とすることができます。

また、他社の特許ポートフォリオを分析することによって、より子細に開発戦略・経営戦略の策定の参考とすることができます。

 

特許ポートフォリオを構築するには?

自社事業を保護するため、将来自社が成長するために必要な自社の特許ポートフォリオを構築するためには、どのような考え方で取り組む必要があるのでしょうか?

まず第一に必要なのは、自社の立ち位置を分析することです。

これには、自社の事業分野やコア技術分野における自社および他社の特許出願、取得状況を調査・分析する必要があります。

調査・分析には、権利者・分野ごとの特許数などの定量的分析と、個々の特許の内容や強さなどの定性的分析の2つの分析手法があります。

定量的分析は、一般的なデータベースを用いておこなうことが可能であり、特許調査会社などに依頼しても数万円程度の費用で調査可能なので、積極的に利用したい調査手法です。

一方の定性的分析は、個々の特許の内容を十分に理解する必要があるので、特許事務所の力を借りることになるでしょう。

自社および他社の特許出願、取得状況を調査・分析すれば、自社の技術に関連して追加で取得すべき特許や、他社特許によるリスクも明確に見えるようになります。

自社の技術に関連する取得すべき特許については、開発と連携して特許取得を進めていく必要があります。

また、自社の技術とは直接的な関係がなくとも、他社特許によるリスクに対する対抗手段となる特許がないかなども検討し、並行して取得を進めていくことになります。

自社の技術とは直接的な関係にない技術については、他社からライセンスを受けたり買い取って取得することも検討していく必要があるでしょう。

このような活動を続けていくことで、自社のポートフォリオをより強固で最適なものとして構築していくことが、特許戦略の重要な課題となります。