意匠

2017.11.24

意匠の国際出願、ハーグ協定とは

意匠の国際出願の新たなルートとして2015年から利用可能になった『ハーグ協定』。

『ハーグ協定』とはどのようなものか、わかりやすく解説致します。

 

ハーグ協定とは?

意匠を海外に出願する場合のルートとして、2015年5月から新たに利用可能となったルートが『ハーグ協定』です。

ハーグ協定とは、意匠の海外出願において国際事務局に出願することで指定国への出願・登録を一元化するシステムで、日本を含めて世界62カ国が加盟しています。

既にEUや米国などの主要国が加盟しているほか、現在のところ中国・ロシア・カナダなども加盟を検討中です。

 

 

ハーグ協定を利用した出願手続の流れ

ハーグ出願の流れ

ハーグ協定ルートで意匠の海外出願をおこなう場合、まずWIPO国際事務局に出願をすることになります。(国際出願)

※商標の国際出願のように本国出願・登録は条件とはなっていません。

国際出願後、WIPOによる方式審査が行われます。方式審査とは、記載漏れなどの書類不備がないかどうかのみをチェックするものです。

これを通過することで正式に各国に出願したことになります。この手続きの段階を「国際登録」と言いますが、この時点では、権利は発生していません。

そして、国際登録から6か月後、WIPOのウェブサイトにて出願した意匠が公開されます(国際公表)。

この公開のタイミングは、別途の申請によりある程度変更することが可能です。審査を急ぎたい場合、国際登録時に出願意匠を公開することもできます。

 

指定された各国は、国際公表のあと6か月~12カ月以内に審査の結果を通知します。

審査の結果、登録が認められた場合には晴れてその国での意匠権が発生します。

 

登録が認められず、「拒絶の通報」が届く場合もあります。その国の登録の条件を満たしていない場合に通知されるもので、登録できない理由が記載されています。

この通知が来た場合は、その国の現地代理人を通じて出願書類の内容を修正したり、審査官の意見に反論する必要があります。(この手続きを中間応答と言います。)

修正により登録の条件を満たしたり、審査官が反論に納得してくれれば、登録が認められます。

 

登録となった場合、5年間の存続期間が設定されます。

以後5年ごとの更新をおこなうことで国によって最短15年、最長25年の間、意匠権を維持することができます。

 

 

ハーグ協定のメリット・デメリット

ハーグ協定を利用した意匠の国際出願をおこなうメリットは

・1つの出願で複数の国に出願することが可能

・1つの出願に複数の意匠を含めることが可能

・英語・フランス語・スペイン語のうち1言語で出願すれば良いため、各国ごとの翻訳の手間が省ける

・拒絶の通報なく登録となった場合には、現地代理人が不要

・住所変更などの手続きは、WIPOに対してのみ行えば完了する

などが挙げられます。

意匠の国際出願は、以前は各国ごとへの出願を要するという手間や、各国での現地代理人を必要とするなどコストが高くなる面があったので、ハーグ協定を利用するルートは手間もコストも削減できる非常に有益なルートだと言えるでしょう。

 

デメリットとしては、複数の国に対して1つの書類を出願することになるため、各国の事情に合わせた出願ができない、という点です。

ハーグ協定はあくまでも手続きを簡単にする制度であり、世界共通の審査の基準が作られているわけではありません。

国ごとに審査の基準が異なるため、とある国では登録の条件を満たしていても、別の国では満たしていないことがあります。

 

コストを抑えたい場合には、ハーグ協定を利用した出願が効果的ですが、

各国の事情に合わせた戦略を取りたい場合には、従来通りパリ条約を利用した各国出願の方が効果的です。

 

海外での意匠登録を目指すにあたり、コストと戦略、どちらを優先したいかを検討したうえで出願ルートを決めるとよいでしょう。

お問い合わせ
このエントリーをはてなブックマークに追加

2017.11.24

  • icon_fb2
  • icon_tw2
  • icon_hb
  • icon_gp

関連記事

人気記事