契約・交渉

2017.10.31

特許にまつわる2つの実施権

特許の実施権とは?

特許の活用方法のひとつに『実施権』を許諾するという方法があります。
『実施権』とは、特許権者によって許諾される、特許発明を特許権者ではない第三者が使用できる権利を意味します。

特許権の一部は、特許権者が独占して特許の対象となっている発明を実施することができる権利であり、この独占状態を活用することで、自社だけが特許発明を実施し、競合他社の参入を阻止すことによって、自社製品の市場シェアを高めたり、価格コントロールを用意にしたりすることができ、利益に結び付くという考え方で活用されています。

しかし、特許権者が独占して実施することよりも、特許発明の実施を第三者に許諾することで、より製品を普及させることができるとか、よりいい品質の製品を作ることができるなどと考えられるときは、第三者に『実施権』を許諾することで、特許発明にもとづく利益を最大化することができ、その利益の一部を、実施権を許諾したことの対価として実施料を受け取ることができるのです。

実施権のことは、『ライセンス』とも呼ばれ、実施料のことは『ライセンス料』『ライセンスフィー』とも呼ばれます。

特許にまつわる2つの実施権

特許権に基づいて許諾される実施権には法律上『通常実施権』『専用実施権』の2つがあります。

通常実施権とは、特許権者であるAが実施者であるBに対し実施を許諾するが、Bの独占的な実施は認めない権利のことです。

この場合、もしBのほかにCが登場して実施の許諾を求めてくれば、AはCにも実施を許諾することが可能です。

この状態では、BとCは通常実施権を持っていることになります。

通常実施権の許諾は、特許権者と実施者の相互間における契約のみで成立し、特許庁の原簿への登録は不要です。

通常実施権者は、その許諾を受けた後に、もし特許権者が第三者に特許権を譲渡した場合でも、譲渡を受けた新たな特許権者に対して通常実施権者の地位を主張できます。つまり、引き続き、特許発明を実施する権利を有することになります。

専用実施権とは、特許権者であるAが実施者であるDに対し独占排他的な特許の実施を許諾する方法のことです。

この場合、特許を実施できるのは独占排他的な実施許諾を受けたDのみであり、第三者がAに実施の許諾を求めても実施の許諾を得ることはできません。

専用実施権を許諾した場合、第三者はもちろん、元々の特許権者であるAであっても特許の実施は認められないという強い独占権が存在します。

さらに専用実施権を許諾されたDは、もし第三者が特許侵害行為を起こした場合、特許権者と同じく差し止め請求や損害賠償請求を起こすことも可能となります。

専用実施権者は実質的に特許権者と同等の権利を持つこととなる点から、専用実施権は非常に強い実施権だと言えるでしょう。

専用実施権の効力を発生させるためには、特許庁の原簿に専用実施権の設定を登録する必要が生じます。

原簿に登録すると、専用実施権者の存在についてだれでも知ることができる状態になります。

このような状態を避ける目的や特許権者自身は実施ができる状態にしておきたい場合などは、専用実施権の許諾ではなく、ライセンス契約書に「独占的である」という内容を盛り込むことで、独占的な許諾を保証する方法もよくとられています。

このような実施権を、日本では、通称『独占的通常実施権』と呼びますが、法的には、専用実施権者のような差し止め請求権などは有さないことに注意が必要です。

なお、通常、専用という語句は、日本の特許法上の語句です。
グローバルでは、独占的実施権、非独占的実施権という言い方で分けることができます。

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2017.10.31

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