結合商標とは?

商標は、文字商標・図形商標・記号商標・立体商標の4形態が基本となっていますが、

これら4形態の商標の2つ以上を組み合わせた商標を『結合商標』と呼びます。

文字だけ、図形だけなどの商標と比較すると、結合商標は識別力が優れており、企業のロゴなどにも多用されているので、無意識にも実生活の中で度々目にしていることでしょう。

 

結合商標の審査は『分離観察』と呼ばれる方法で行われています。

文字+図形の結合商標の場合、全体の商標としての審査だけでなく、分離観察によって文字部分、図形部分のそれぞれについても審査することになります。

もし図形部分に問題がなくても、文字部分が同一または類似するなど、いずれか一方でも同一・類似と判断される場合は、特許庁から拒絶を受けることがあります。

また、文字商標でも文字数が多かったり、複数の言葉によって構成されている場合は、結合商標とみなされて分離観察による審査を受けることがあります。

 

このように説明すると、結合商標の審査は非常に厳しいものだと感じるかも知れませんが、

結合商標は単一形態の商標と比較すると登録に至るケースが多く、識別力の高さからも商標として非常に有効だと言えるでしょう。

 

結合商標の登録と拒絶の具体例

一般生活で目にする企業のロゴなどに目を向けると結合商標が多々存在していることに気がつくでしょう。

例えば、運送業者のヤマト運輸株式会社のロゴは、同社がイメージキャラクターとしている黒猫をモチーフにした絵柄の図形商標に加えて『ヤマト運輸』の文字商標が結合しており、文字+図形の結合商標の一般的な形を成しています。

結合商標の多くは、このように文字+図形の形態で登録されています。

 

一方、拒絶の事例としては菓子の『天使のチョコリング』が挙げられます。

一見すると単一の文字商標のように感じられますが『天使』と『チョコリング』が格助詞『の』で結び付けられた結合商標であると判断されます。

この事例では、出願人が長年にわたって天使をモチーフにした商標を使用し、

観念的に天使と共通する『エンゼル』の商標保護に努めてきたという事実から

『天使』の部分のみが類似商標と判断されて拒絶を受けました。