商標侵害とは?

『商標侵害』とは、特許庁に登録された他人の商標の権利範囲を侵して商標を使用することを指す特許用語です。

つまり、自身または自社が登録を受けた登録商標を第三者が権利範囲を犯して使用した場合は「商標侵害を受けた」という状態になります。

商標侵害に当たる行為を起こすと、まず商標権者から、商標の使用中止を求める差し止め請求を受けます。

差し止め請求を受けた場合、在庫から商標を抹消したり、既に市場で流通し店頭で販売されている商品を回収する事態が発生します。

また、商標侵害の状態を解消するため、商品名の変更も余儀なくされてしまうでしょう。

さらに、商標権者に損害が生じている際には、損害賠償請求を受けます。

加えて、商標侵害に当たるという認識がありながら商標侵害を犯した場合は、商標法違反として10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはこれが併科されるおそれがあります。

故意に商標侵害を犯せば当然に犯罪であり刑罰の対象となりますが、過失的に商標侵害を犯してしまった場合にも、差し止め請求を受ければ商品の回収や損害賠償請求、商標権者の信用回復への対応などで、多大な損害を味わうことになるでしょう。

 

商標侵害の基準とは?

商標侵害は専用権の範囲と禁止権の範囲を基準として考えることになります。

専用権の範囲を侵害する行為とは登録と同一の商標を登録と同一の商品・役務で商標を使用した場合です。

一方、禁止権の範囲を侵害する行為とは

 ●同一商標+類似の商品・役務

 ●類似商標+同一の商品・役務

 ●類似商標+類似の商品・役務

のパターンで商標を使用した場合となります。

 

このように整理すると、商標または商品・役務のいずれかが類似すれば商標侵害を犯してしまうおそれがあることが分かるでしょう。

商標の類似とは、登録商標『山川』に対して『ヤマカワ』のように表記方法を変えただけの違いであったり、登録商標『◯◯スクール』を『◯◯学校』のように意味合いで観念が競合している場合に生じる問題です。

商品・役務の類似とは、商品の販売場所や役務の提供場所が同一の場合に起こりやすく、具体的には『電子出版物』と『電子出版物の提供』が類似に該当します。

総合的には出所混同のおそれ、つまり消費者が混同しやすいか否かが重要な要素であるとされており、形式上は同一または類似していなくても商標侵害と判断されるため、注意が必要です。