商標登録をしていない場合のデメリット

商標登録は、自社の製品やサービスに使用する文字や図形などで構成された商標の使用を独占することができるというメリットを享受することができます。

このメリットは企業・団体が自社のブランド力を高め、経済的な利益を生み出す効果に直結しますが、残念ながら商標登録の重要性について理解を示さない経営者も存在しています。

 

では、商標登録をしていない場合、どのような事態が起こるのでしょうか?

 

もし商標登録をしていないと、第三者の個人や法人などが無制限に自社の商標を使用することを許容することになり、コピー商品などの闊歩を許すことになってしまいます。

安価なコピー商品が流通してしまえば本製品の売上げを低下させてしまうだけでなく、粗悪なコピー商品によって自社のブランド力を毀損してしまうおそれがあるのです。

 

商標登録をしないことで起こり得る危険

商標登録をしないことで、本製品の売上げ低下・ブランド力の毀損という不利益が発生しますが、問題はこれだけに止まりません。

第三者が無制限に自社の商標を使用することよりも、もっと危険な事態を招くことがあるのです。

 

例えば、ある商品の販売にあたり商標登録をしていないままであれば、商標登録が為されていないことを知った第三者が商標登録をしてしまう危険があるのです。

このような事態に陥ってしまうと、第三者に商標を独占使用されてしまうだけでなく、自社が考案した商標なのに第三者からライセンス料や賠償金の支払いを請求されてしまう危険があるのです。

 

実際の事例では、国内だけでなく海外でも大人気のテレビアニメ『クレヨンしんちゃん』の商標登録問題が挙げられます。

同アニメの商標は国内での商標登録がなされていましたが、中国における商標登録がなされていなかったため、中国国内においてコピー商品が大流通してしまいましたが、問題はここでは止まりませんでした。

中国国内において無断で商標を使用しているとして、同アニメの権利において本家本元である双葉社が中国企業から提訴されてしまったのです。

この問題は8年間もの長い訴訟を経て、双葉社が権利を勝ち取るという解決を迎えましたが、訴訟による労力と費用の損失は莫大なものとなってしまいました。

商標の独占使用による権利保護だけでなく、自社の経営を危険から守るためにも、商標登録は欠かすことができないものだという事例でしょう。