特許におけるクロスライセンスとは?

特許といえば、ある一つの発明について世間に公開することを条件に、一定の期間に限って実施を独占する権利を有することを意味します。

しかし、新技術が導入されることが多いパソコンや携帯電話・スマートフォンなどの電子機器のように、数多くの部品によって1つの機器が構成されている製品では、1つの機器の中に数百個以上の特許が盛り込まれていることが多々あります。

自社が特許を取得している1つの部品は、実は別の他者が権利を有している特許技術によって構成されており、自他が有する特許技術が相互に支え合いながら1つの部品を構成していることがあります。

第三者が権利を所有している特許を使用する場合、通常の流れであればライセンス料を支払って実施許諾を受けるのが一般的ですが、もし、お互いの特許が支え合っている状態であれば、相互が特許を使用できるようにライセンス契約を結ぶことで円満な解決を図ることができます。

このように、お互いの特許が支え合っている状態で、互いに実施許諾をする契約のことを、特許のクロスライセンス契約と呼びます。

 

特許のクロスライセンス契約のメリットとは?

互いに特許の実施許諾をおこなう契約であるクロスライセンス契約ですが、一体、どんなメリットが存在するのでしょうか?

まず、相互に特許の使用を認め合うことによって、お互いにライセンス料を支払うという手間が省略できます。

金銭を動かさずに実施許諾を受けることは非常に大きなメリットとなります。

発展的な観点で見れば、相互の特許技術を存分に使用することで、新たな発明を生み出すきっかけとも成り得るというメリットも存在します。

金銭的・技術的に大きなメリットがあるクロスライセンス契約ですが、実務上は、特許権侵害の警告を受けた一方が、ライセンス料を支払うことを避けるためにクロスライセンス契約を持ちかけるという利用のほうが多く見受けられます。

その意味では、いざ、他者から特許権侵害の警告を受けた時のために、漏れなく種々の特許を保有しておくことは非常に重要です。

特許権侵害の警告を受けた場合は、安易にライセンス料の支払いに応じるのではなく、まずは弁理士に相談の上でクロスライセンス契約に持ち込むことを検討するのも賢明でしょう。

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