著作権は「著作者の仕事70年」に限って保護される

 

著作権は、著作者の生存期間中および、著作者の死後70年間保護されます。

最近、安価なCDなどを量販店などで目にするようになったのは、この「著作者の死後70年間」が経過したことで著作権が消滅したため出回りだしたからです。

この「著作者の死後70年間」の保護期間は、著作者が判明している著作物に関する原則であり、著作者が実名である場合だけでなく「周知の変名」である場合も対象となります。

分かりやすく例を挙げると、有名な漫画家である『手塚治虫』は、漫画家としてのペンネームである手塚治虫名義で作品を発表していますが、本名は『手塚治』です。

この場合、戸籍などの公的な記録では、死亡したのは手塚治ですが、ペンネームである手塚治虫という名前は、手塚治虫のマンガ作品を読んだことがなくても誰もが知っている「周知の変名」であるため、手塚治虫名義の作品は、本名である手塚治が死亡した1990年の初日である1月1日から70年間が満了する直前の2059年末日までの期間において、著作権が保護されることになります。

なお、手塚治虫名義の著作権は2059年末日までの期間で保護されていますが、たとえ保護期間内であっても、著作者が相続人不在の場合は、著作者が死亡した時点で著作権が消滅します。

 

著作者が個人ではない場合の保護期間は?

著作権の保護期間が「著作者の死後70年間」という基本は理解できたとして、例えば著作者が個人ではなく法人などの団体名義であった場合はどうなるのでしょうか?

この場合、法人などの団体には死亡するという概念がないので、死後70年間という原則は適用されず、保護期間は「公表後70年間」となります。

先のように漫画家の作品を例に挙げて考えると、漫画家が著作権を出版社に譲渡していた場合、出版社は死亡する概念がないので永久に著作権が保護されるのかというと間違いで、出版社が作品を販売して公表した時点をもって70年間が保護期間となります。

また、1人の著作者によるものではなく、数多くの製作者が関与して完成する映画作品も同様に、公表後70年間が著作権の保護期間となります。

他人の著作物の使用は、著作者が死亡していても相続によって保護期間が継続している場合があるので、弁理士に依頼してライセンス契約の締結を検討しましょう。