中国で特許を取得する必要はあるか?

国内企業の中には、いまだに「中国で特許を出願しても模倣されるだけだ」と中国での特許出願に理解を示していない企業が数多く存在しますが、この考え方は誤解だと言わざるを得ません。

現在の中国は国を挙げて知財保護の強化に努めており、特に中国大企業では知財保護に関する意識が高まっています。

また、中国での特許を出願していなかったことで、中国企業による模倣であるにも関わらず、オリジナルに先んじて特許を出願・取得したうえで和解金や賠償金を請求してくるケースも散見されています。

知財への意識が高まったと同時に知財を巧妙に活かして利益に転換しようとする動きも活発であるため「中国は知財に対する意識が低い」と軽視することは危険です。

近年の中国における知財への意識と関心の高まりを考えれば、中国における特許出願は非常に重要だと言えますが、全ての発明について特許を出願すればよいというわけではありません。

技術の性質・製造場所などを考慮して、模倣されやすい技術とノウハウ秘匿が可能な技術を見極め、メリハリのある特許出願戦略を立てるべきだと心得ておきましょう。

 

中国で特許を出願する方法

中国で特許を出願する場合、中国に直接出願するか、または国際出願(PCT出願)を中国移行することになります。

日本で出願した後に中国へ出願する場合には、日本国内において特許を出願した日から1年以内に中国へ出願することでパリ条約における優先権を主張することができるため、日本での出願日を基準として審査を受けることができます。

この方法を一般的に『パリルート』と呼びます。

 

一方、日本で出願した後、パリ条約における優先権を主張した上で1年以内にPCT出願をした後に中国移行する場合には、日本での出願日から30ヶ月以内に中国移行の手続きをすることもできます。

この方法を『PCTルート』と呼び、PCT出願の時点でパリ条約における優先権を主張しているため、日本での出願日を基準として審査を受けることができます。

もちろん、日本で出願せずにPCT出願をして中国移行することも可能ですが、この場合はPCT出願日から30ヶ月以内に中国移行の手続きが必要です。

また、いずれの方法においても、中国語によって作成した出願書類を作成する必要があることを覚えておきましょう。